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備前・旭川の憂鬱 (自民党総裁選から見るエネルギー政策(修正有り) 21-34) [日記・雑感]


計算にミスのある事をokayama-taro@okayama_taro_1さんよりTwitter経由で指摘がありました。修正します。

国の究極の使命は、「国民の皆様の生命と財産を守り抜くこと」
         「領土・領海・領空・資源を守り抜くこと」
         「国家の主権と名誉を守り抜くこと」

とうい【大原則】(高市早苗さんの総裁選出馬会見より)に沿って今の自民党総裁選のエネルギー政策を考えて見ました。

過去を顧みると、軍人を含む日本国民約310万人が亡くなり、国民生活を塗炭の苦しみに追い込んだ先の大戦に至った原因の1つに、資源やエネルギーの問題があったはずです。今は当時とは異なりますが、地政学的な国際環境、技術革新の方向、等々を誤れば、生存への道が危うくなり国家の主権や国益を損ないかねないと思います。


現在、自民党総裁選の真っただ中ですが、4人の候補者のエネルギー政策は、JIJIドットコム自民総裁選は「関ケ原」2021/09/25より以下の通りです。

JIJI総裁選0925.jpg

野田氏は討論会で、長男が人工呼吸器の着用を必要とする「医療的ケア児」であることにも触れて「エネルギーは安定供給が前提だ」と指摘。地熱発電を含む再生可能エネルギーの普及などにあわせた電源構成の見直しを行いながら、当面は原発を活用すべきだとの認識を示しました。

筆者は以前より〝電力は現状決定的に優位な電源がないのでポートフォリオを組むべきで、時代・時代に対応してそのポートフォリオの比率を組み替えるべき〟と述べて来ました。実はこの考えに近いのが、意外にも野田聖子さんです(苦笑)。


現在の国のエネルギー政策の根幹は2021/09/25の菅総理所信表明演説「2050年までに脱炭素社会を実現」です。これは大変問題が多いのです。演説内容をSDGsジャーナルより引用します。

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菅政権では、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現に最大限注力してまいります。

わが国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体として「ゼロ」にする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。

もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。

積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。

鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです。

実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進します。

規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資の更なる普及を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組みます。

環境関連分野のデジタル化により、効率的、効果的にグリーン化を進めていきます。

世界のグリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環を作り出してまいります。

省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで、安定的なエネルギー供給を確立します。

長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換します。
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これは今まで日本が掲げて来たエネルギー政策を大幅に変更するものです。では2030年の一時エネルギー供給、および電源構成を見てみましょう。全ての項目が併記されている、すなわちポートフォリオが組まれています。国際情勢の変化や技術革新にも耐えられる構成になっていると思います。(画面をクリック願います。少し見易くなります。)

日本の電源構成計画 - 1024.jpg


2020年の実績で日本の太陽光発電能力は世界3位で67,000 MW、国土面積1km2当たりの太陽光発電導入量で比べたデータでは既に世界1位です。(新電力コムのHPより)

 1位 日本    29,400kW
 2位 ドイツ   25,200kW
 3位 イギリス  11,000kW
 4位 フランス  3,600kW
 5位 チャイナ  3,600kW
 6位 インド   1,800kW
 7位 アメリカ  1,200kW 


経済産業省は2021/05、2050年にカーボンニュートラル達成に向けた〝参考値〟として、2050年までに260,000MW-370,000MW規模の太陽光発電が必要との見方を示しています。

この260,000MWを石炭火力発電やLNG発電を〝ゼロ〟にして、それを太陽光、洋上発電等のグリーンエネルギーと次世代型太陽電池に懸けることにしましょう。現在の太陽光発電パネルの実力は140W/m2 = 140MW/km2 です。(単位が間違っていました。修正します2021/10/01)

単純に計算して、260,000MW ÷ 140MW/km2 ≒ 1,860km2となります。日本の国土は37万km2です。東京都の面積は2,194km2ですから、都全体をほぼ太陽光発電パネルに充てることになります。

山間部が多く、平地の少ない国土ですから、日本国内で太陽光発電をこれ以上増やせません。太陽光発電を巡っては、景観への影響や土砂災害への懸念から大規模太陽光発電所(メガ太陽光)への反対運動が各地で起こってきています。当然です。


世界のCO2排出量は2016年で約323億トンです。

世界の炭素排出量2019版 - 409.jpg


そのほとんどはチャイナとアメリカです。続くのはインドとロシアです。日本も5番目にランキングされていますが、〝神奈川県閥の政治家たち〟が主張するように、日本のCO2排出量を〝ゼロ〟にしても世界への貢献はたかだか3.5%削減に過ぎません。

カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現にかかるコストは、当然ですが我々日本国民が負う事になります。出羽守が引き合いに出す、ドイツの電力料金のトレンドを見てみましょう。感覚的には2倍になっています。

ドイツ電気代推移 - 512.jpg


それが分かっている狡猾なチャイナは出鱈目の論理で世界世論から逃げまくっています。環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは、誰に入れ知恵されたのか知りませんが、日本を名指しして批判していますが、全くの的外れです。


日本は電力密度が高く、安全性の確保された次世代型小型原子力発電や、開発途上国への供給も可能なCCS設備を附随させた高効率石炭火力発電技術の開発にこそ、次世代を担う意味があると思います。欧州の狂信的な環境原理主義者に付和雷同してはいけません。



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