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備前・旭川の憂鬱 (「岡山県立記録資料館」16-32) [日記・雑感]

首都東京には 「国立公文書館」 が有ります。 国立公文書館は、国の機関で作成された膨大な公文書の中から、歴史資料として重要なものを選んで保存し、一般に公開、国民が利用するための施設です。 「特定秘密保護法」 のドタバタもありました。

各都道府県にも 「記録資料館」や「公文書館」 があり、その地方の公文書や歴史資料が保管されているはずです。 岡山市には 「岡山県立記録資料館」 があります。

この記録資料館ですが、住民サービスとして想像以上のサービスを提供しています。 例えば

・「古文書解読講座」、楽しい古文書(初級)、深める古文書(中級) 
何れも半年間でして、費用は500円です。 講座名称がなかなか考えられていますね。良いネーミングです。

・「郷土資料の面白さを知ろう」「和綴じ本を作ろう」「身近な街の風景を楽しもう!」「昔の新聞を調べてみよう」「公文書の世界を覗いてみよう」等で、これも半年間コースでして、費用は古文書と同様、500円で後は実費です。

最近この講座の一つに 「夜間講座・きろく県史みらい塾」 がやはり半年間、開催されています。 これは無料です。 18:30から20:00迄でして、仕事のある方にも配慮されたものになっています。

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この講座に参加しました。 目から鱗、のお話が多々あります。 何といってもこの講座の講師は、定兼(さだかね) 学さん、当館の館長さんです。 ついでですが、彼は文学博士の学位をお持ちです。 特別喋りが上手ではありませんが、本当に深く御存じであることは、お話を聞けば直ぐに判ります。

第一回「岡山諸藩と自治スキル」 ですが、驚きです。 封建制の江戸期に 「自治」!?がんじがらめの世の中でして、領民である農民・庶民は〝生かさず殺さず〟であったと教えられて来ました。 全く異なります。

岡山藩の場合の統治システムは、大凡として 「庄屋・名主」 が 「五人組頭」 を管理・監督するシステムです。 確実に年貢を取るようにする事が目的ですから、年貢さえ納めれば後はそれなりの自治があったというものです。 藩の奉行はこの 「庄屋・名主」 を管理・監督すればそれで目的が達成できるというものです。

ではどんな自治があったのかです。 定兼さん曰く、大事な統治システムの最前線管理者 「五人組頭」 を誰それにしたいからと、「庄屋・名主」 が藩に申し出を行い、藩はそれを認めたそうです。

さらに 「庄屋・名主」 単位で村中一致で 「法令」 を決めていたそうです。 これは明らかに 「自治」 ですね。 この自治を可能にするには 「文書」 が必要でした。 前例が大切だからです。

第二回は 「寺子屋と教育再生システム」 でした。 岡山藩では 「閑谷(しずたに)学校」 が江戸前期1670年頃に設立されましたが、各郡には 「寺子屋」 も沢山作られました。 

この目的が面白い。 自治システムで年貢を取るには、すなわち藩にとって都合の良い人材を育成したかった、というのが本音のようです。 田んぼの面積で年貢を割り振るのですが、庄屋・名主や五人組頭は、文字が読めて、計算が出来なければ仕事は務まりません。 

それゆえ村人も、立身出世(五人組頭になりたい)、名が売れる、名誉である、とか、村に貢献できるとか、とにかく学問が面白い、といった理由で 「寺子屋」 が大流行だったそうです。 この知的レベルが高いという財産が明治維新を開花させた、と筆者は思いました。

噺が飛びますが、エジプトのピラミッド、これも奴隷が人権もなく、ひたすら酷使されたと教えられて来ましたが、少し前から、ピラミッドは農閑期の公共事業であった、という説も聞かれます。 

歴史も文書を虚心坦懐に解読し、事実・ファクトに基づかなければならない、と痛感しました。

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