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備前・旭川の憂鬱 ( 世界で最も「文化的影響力のある国」ランキング 23-04) [日記・雑感]


前投稿で紹介しました〝ranking of Best Countries〟『NewSphere.jp』と云うsite、この記事の中に〝日本トップ5入り 世界で最も文化的影響力のある国ランキング Sep 16 2022 〟がありましたので、続いてご紹介します。URLは下記の通りです。
https://newsphere.jp/list/20_countries_with_most_cultural_influence_2/?utm_source=popin&utm_medium=cpc_popin&utm_campaign=20_countries_with_most_cultural_influence_2_popin&a0v5la7bquf89=b807f5b060459b665935c632c642308a&uy3ubftvh0u6o8=24f7884f392c464bddea352340a9a05b&tripid=24f7884f392c464bddea352340a9a05b&cusduxj27i=1450050&xnfrr0ncac=891&zsmoi87pih9=trace.popin.cc&lzzgnpz8d=7adecf32f6384f3d142794ab5af9e8c0  

アメリカの時事解説誌USニューズ&ワールド・レポートが発表している「世界最高の国ランキング」は、9つの項目から総合的に国を評価しているが、ここでは、その項目の一つ「Cultural Influence(文化的影響)」でランクインした、世界トップ20ヶ国を紹介しています。

文化的影響力ランキングは、その国のアート、食べ物、ファッション、スポーツ、音楽や映画などのエンターテインメントが世界に与える影響を評価したものだそうです。

「Cultural Influence(文化的影響)」の ranking は以下の通りです。

 1. Italy
 2. France
 3. United States
 4. Japan
 5. Spain
 6. United Kingdom
 7. South Korea
 8. Switzerland
 9. Germany
 10. Australia
11位以下は省略しますが、興味のある方は前述のURLを参照ください。

ここで筆者が注目したのは、7位にranking されている韓国です。スイスやドイツよりも〝文化〟で評価されていることです。7位にranking されている韓国は記事の中では、下記のように説明されています。その一部を取り上げます。

Liberated from Japan in 1945 at the end of World War II, South Korea was invaded by communist forces in North Korea several years later. Aid from the United Nations helped end the three-year war and support the south on its path to democracy. A critical divide between the two nations along the center of the peninsula remains.
〝1945 年に第二次世界大戦の終わりに日本から解放された韓国は、5年後に北朝鮮の共産主義勢力に侵略されました。 国連からの援助は3年にわたる戦争を終結させ、民主主義への道を歩む南部を支援するのに役立ちました。 半島の中央に沿って二分された国の間には、重大な隔たりが残っています。〟

South Korea’s high-tech, service-based economy is a foreign investment success story, becoming the first recipient of OECD Development Assistance Committee funds to later become a donor of the funds. The nation has seen steady growth and poverty reduction since the 1960s and is now among the world’s largest economies overall.
〝韓国のハイテクサービスベースの経済は、外国投資のサクセスストーリーであり、後に資金の寄付者になるOECD開発支援委員会の資金の最初の受賞者になります。 韓国は1960年代から着実な成長と貧困削減を見ており、現在は世界最大の経済の1つです。〟


オイオイ、ちょっと待ってくれよ!?日本国の支援はどこにも記載されていません。OECDが支援したことになっています。そして現在は〝世界最大の経済の1つ〟でしょうか!?

日本が韓国に渡したカネは、以下のようになっているはずです。
 ・1965年以前までに約2.16兆円
 ・1965年「日韓基本条約」で3,000億円 (韓国の当時の年間予算の1.8倍)
 ・1983年特別協力金が約1兆円
 ・1997年韓国通貨危機の際が約7兆円
 ・2006年ウォン高救済のときが2兆円
 ・2008年リーマンショック時が3兆円
 ・スワップ枠増額5兆4,000億円
色んな試算がありまして確定的な数値は見つけられませんでしたが、20兆円以上になります。もちろん、単年度で支払った訳ではありませんし、借款の部分もあります。

韓国の〝漢江の奇跡〟を演出したのは日本国です。決してOECD開発支援委員会の資金ではありません。

戦後多額の賠償金(ODA)を払いましたが、それ以上に韓国を助けたのは、製鉄・石油化学・自動車・造船・機械・電機、全てを技術を無償供与しました。その結果が今です。若い方はこの事実を受け止めて、韓国・メディアや日本の野党の流す捏造に惑わされてはいけません!


〝1945 年に第二次世界大戦の終わりに日本から解放された韓国〟とあります。この際ですから、現在まで続く韓国の国際法違反や国際秩序無視ぶりを、筆者の理解の範囲で簡単にまとめてみます。

〝South Korea’s Dubious Comfort Women Ruling 韓国の疑わしい慰安婦判決〟By Jinyul Ju 
THE DIPROMAT February 14, 2021 によりますと〝Why the court got it wrong on international law 裁判所が国際法について誤った判断を下した理由〟を述べています。抜粋します。URLは以下の通りです。
https://thediplomat.com/2021/02/south-koreas-dubious-comfort-women-ruling/  

〝私は日韓関係の事実を理解するために、日韓併合より前の1890年代に朝鮮半島に滞在して出版したイザベラ・バードや日韓併合中の1922年に滞在したアレン・アイルランドの著書を読みました。〟

〝「欧米人の見解なら日韓当事者より公正だろうと感じたからです。そこで感じたことは「残忍なのは日本人ではなく朝鮮人両班の庶民に対するニグレクトや搾取、政治腐敗、最悪の衛生状態とインフラ整備」です。〟

〝日本政府は日清戦争後朝鮮政府に介入し、奴婢の解放や官報に漢字ハングル交じり文の採用させたり多額の対朝鮮投融資をするなど、明確な改善が行われました。日韓併合中のインフラ投資も日本本土と差別ない大掛かりな規模でした。逆に韓国が最貧国に逆戻りしたのは、日本撤退後の済州.3事件から朝鮮半島への「朝鮮人同士の殺戮」のせいでした。〟


そもそも韓国と日本は、独立戦争のような戦争をしてませんし、韓国人ですらそれをすっかり勘違いして第二次世界大戦戦勝国式典に出たりしています。

韓国人はトンデモ誤解をしていまして、韓国はアメリカに亡命政府を作り、さんざん抵抗運動を繰り返し、英雄金日成のゲリラ活動もあって、ついに大日本帝国の降伏と国土回復することが出来た、と習っているんだそうです。

では何ゆえにこのように「事実」が曲解されているのでしょうか?それは、日本国内の反日研究者・活動家の責任が重大です。皮肉にも〝強制連行説〟と〝性奴隷説〟は日本で作られたものです、と『反日種族主義』の著者である李栄薫氏は彼の著書に記しています。

何分、ロビー活動に長けた韓国の国民性が、この誤謬をさらに助長しました。K-POPや一部の分野で世界的に活躍しているモノもありますが、その結果、韓国がスイスやドイツを差し置いて素晴らしい「Cultural Influence(文化的影響)」のある国になってしまったのです。


そして、韓国は〝世界最大の経済の1つ〟でしょうか?2021年のIMF統計によりますと、名目GDPランキングは以下のようになっています。単位は百万US$です。

 1.アメリカ  22,996,075-
 2.チャイナ  17,744,640-
 3.日本    4,932,556-
 4.ドイツ   4,262,767-
 5.イギリス  3,187,626-
 6.インド   3,176,296-
 7.フランス  2,957,425-
 8.イタリア  2,101,275-
 9.カナダ   1,988,336-
 10.韓国   1,810,966-
 11.ロシア  1,778,530-
以下省略します。

確かに世界のトップ10には入っていますが〝世界最大の経済の1つ〟ではないと思います。まあ、インド・フランス辺りまででしょうか。

蛇足ですが。ウクライナ戦争を戦うロシア、経済的には〝小国〟です。これからが大変でしょう。

日本は過去の「情報戦略」が著しく欠如していたため、前稿 https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2023-01-25 の「Social Purpose」でも、想像以上に低い評価となっています。

新型コロナウイルス終息?後の日本国は、もう少し反日活動家を制してでも(言論の自由を制してはいけません)、事実を積極的に海外に発信し続けていかなければなりません。



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備前・旭川の憂鬱 ( 久しぶりに〝ranking of Best Countries〟 23-03) [日記・雑感]


ネットサーフィン(死語らしい)していましたら、久しぶりに〝ranking of Best Countries〟に出くわしました。これは『NewSphere.jp』と云うsiteの中の記事〝日本トップ5入り 世界で最も文化的影響力のある国ランキング Sep 16 2022 〟です。
https://newsphere.jp/list/20_countries_with_most_cultural_influence_2/?utm_source=popin&utm_medium=cpc_popin&utm_campaign=20_countries_with_most_cultural_influence_2_popin&a0v5la7bquf89=b807f5b060459b665935c632c642308a&uy3ubftvh0u6o8=24f7884f392c464bddea352340a9a05b&tripid=24f7884f392c464bddea352340a9a05b&cusduxj27i=1450050&xnfrr0ncac=891&zsmoi87pih9=trace.popin.cc&lzzgnpz8d=7adecf32f6384f3d142794ab5af9e8c0 

以下、原文を中心に紹介します。

U.S. News Best Countries 2022 Rankings  U.S. News & World Report L.P.
The overall ranking of Best Countries measure global performance on a variety of metrics. Switzerland is the best country in the world for 2022.

ベスト・カントリーの全体的なランキングは、さまざまな指標でグローバルなパフォーマンスを評価します。 以下、ランキングをご覧ください。詳細は上記URLを参照ください。

  1. Switzerland  
  2. Germany  
  3. Canada  
  4. United States  
  5. Sweden  
  6. Japan  
  7. Australia  
  8. United Kingdom  
  9. France  
  10. Denmark  

ダボス会議では、国際競争力が34位(数値は不確か)に下落していますが、それでも〝ベスト・カントリー〟にランキングされています。

一応、内容をチェックしました。評価項目の一つに〝Social Purpose〟がありまして、これがSwedenは100点満点なんですが、なんと我が日本は25点に過ぎません。

social purpose 768.jpg


少し中身を深堀してみます。評価指標は11項目に渡っています。数値は日本の点数ですが、Swedenの点数も併記します。

・Cares about animal rights    9.7/78.0 動物への責任
・Cares about human rights   34.0 /100.0 人権への責任
・Cares about the environment 43.3/98.7 環境への責任
・Committed to climate goals   26.2/89.0 気候目標への取り組み
・Committed to social justice   12.3/96.1 社会正義への取り組み
・Gender equality        8.5 /97.3 男女平等
・Racial equity         12.0/99.5 人種平等
・Religious freedom        18.9/90.4 宗教の自由
・Respects property rights   47.5/92.0 財産権の尊重
・Trustworthy         52.3/95.9 信頼性
・Well-distributed political power 29.7/94.3 上手く分配された政治権力

人権・宗教・信頼性・環境なんかホントかね!?と思います。Twitterの「北欧の理想と現実@yas北欧emete」さんの現地メディアの投稿を見ていますと、とてもこんな素晴らしい点数には思えません。まあ白人系のキリスト教徒から見ての日本でしょうから。こんなことを言うとまたまた点数が下がりそうです。

こんなに〝Social Purpose〟の点数が悪くても、世界最高の国ランキングで〝5位〟ですから、まあ良いか!?でしょうか。



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備前・旭川の憂鬱 ( 日本のCOP「化石賞:fossil award」受賞は世界を救う! 23-02) [日記・雑感]


「化石賞」とは、COP※が地球温暖化や気候変動対策に対して後ろ向きな行動や発言をした国に、皮肉を込めて贈られる賞でして〝化石燃料に因んでいたり、化石みたいに古い考え方をそのまま続けている国〟という意味が込められています。
※COPとはUN Climate Change conference:国連気候変動枠組条約締約国会議の略称です。

日本には〝不易流行〟という格言がありまして、何でもかんでも新しいものに飛びつくような軽薄な国ではありません。でも日本にも「出羽守」や「尾張守」がいまして、日本国の置かれた環境や歴史を否定し、欧米は優れているとケツの軽い方も散見されます。しかし、日本人の主流、メインストリームの考え方になりません。

例外として東日本大震災、福島原発事故後の〝原発忌避〟はありましたが、さすがに10年経過し、日本人はその異常さに気が付きました。反原発の活動家や環境テロリストの言動に従うと、電力不足やエネルギー費の高騰を招く、と現実が証明してくれました。


経産省は2020/07、非効率な石炭火力を2030年度までに段階的に縮小する方針を表明しました。2022/06末時点の国内の石炭火力は150基で、その内、非効率設備は120基現存するようです。

しかし高効率とされる最新の石炭火力は維持、拡大を容認しているうえ、輸出も引き続き行う方針です。こうした立場がどこまで国際社会、特に欧州の理解を得られるかは分かりません。

ただ、世界を見渡せば、石炭火力を使っている国は少なくありません。日本以外にもチャイナ、インド、韓国、米国、ロシア、豪州、南アフリカ、ポーランド、ドイツなどが石炭大国と云えます。このほか東南アジア諸国も利用が多いのです。

「出羽守」の大好きなドイツ、彼らは褐炭:リグナイト、brown coal を露天掘りしていまして、その特性上露天掘りの直近に火力発電所を置いています。褐炭の特性は水分量が多く、重くてかさばり輸送コストがかかるわりにはエネルギーをあまり生産できず、燃料としてのエネルギー効率は悪いのです。また、空気中の酸素と化学変化して自然発火する恐れがあります。それでも今回のウクライナ侵攻による天然ガス供給停止対策では活躍しています。

日本が批判されるのは、欧州を中心とする各国が石炭火力から距離を置く中、日本が石炭火力を推進し、発展途上国での建設にも多額の公的融資を続けているからです。例えば国際協力銀行JBICは昨年4月、ベトナムでの石炭火力発電事業に約12億ドル、約1,300億円を限度とする融資を行うことを決めています。


改めて議論するまでもなく、エネルギーは安定的な供給、経済性、環境適合、安全性などのさまざまな要素を満たすことが求められます。日本は自給自足が可能なエネルギーがほとんどなく「エネルギー安全保障」を真に考えなければなりません。

しかし残念ながら、全てで完璧なエネルギーはなく、バランスをとりながら最適なエネルギーと、その組み合わせ:ポートフォリオを選ぶことが重要です。欧州と日本では地政学的リスクが異なりますし、歴史や環境も異なります。なんでもかんでも欧米に基準を合わせる必要はありません。

日本で使われる石炭の調達先は豪州やインドネシア、ロシア、カナダ、米国などでして、原油の大半を依存する中東、さらに言えばロシアに比べて紛争などがもたらす地政学的リスクが少ないという利点もあるのです。


実は日本は火力発電技術では世界最先端を行っています。40年前の発電効率の平均は32%でしたが、最近は40%を超えています。少し見難いグラフをご覧下さい。

発電効率トレンド - 409.jpg
大地昭生『火力発電の変遷』J.IEE Japan Vol.121 No.4 より引用

日本国内でごく最近発電開始した石炭火力発電所の例を見てみましょう。

2022/11/01 中国電力のプレスリリースより。〝三隅発電所2号機の運転開始〟出力:100万kW(原発1基分)、発電効率がなんと〝43.3%〟です。燃料は石炭・木質バイオマス(混焼比率は10%程度)です。もちろん大気汚染物質除去装置を持っていまして、煙害はありません。年間50万トン程度の二酸化炭素(CO2)が削減できます。

もう一つ、2023/1/13 JERA姉崎火力新1号機が運転開始です。JERAは東京電力と中部電力は出資する原発を除く発電に特化した会社です。出力は65万kW、発電効率は分かりません。燃料はLNGです。大気汚染物質除去装置を持っていまして、当然煙害はありません。年間60万トン程度の二酸化炭素(CO2)が削減できます。

この発電所は50Hz地域の電力不足解消に大きく寄与します。電力供給の余力を示す予備率に換算すると東京電力管内のおよそ1%に相当するそうです。


ですから今後もCOPより「化石賞」をありがたく頂戴する度に、日本は世界の二酸化炭素(CO2)の削減に寄与できた、と世界に大いに公言すべきです。



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備前・旭川の憂鬱 ( 気候復元 中川毅著『人類と気候の10万年史』より 23-01) [日記・雑感]


地球の気候変動に関する論調は、相も変わらず、余りにも直情径行で感情的です。

一度、今までの地球温暖化を離れ〝真の気候変動とは〟を問うてみたいと思いました。学会の論文を探すことが研究者には必須ですが、筆者のような素人には、それは実力的に無理です。

そこで今、筆者が知りたいと思う「本」を探しました。

ありました!筆者にとって余りにも適切な著作が見つかりました。それは、中川毅著『人類と気候の10万年史』過去に何が起きたのか、これから何が起きるのか、ブルーバックスB-2004 2017年です。


この本は、気候変動を理論ではなく「実証」で論じたものです。その実証の根拠は、ちょっと意外なんですが、日本に存在します。福井県若狭湾岸にある「水月湖」という三方五湖の一つの湖で、過去の気候を記録した良質の〝年縞堆積物〟の存在が確認されたことに始まります。

国際的な学会でも水月湖は今や「世界標準時計」として「グリーンランド氷床」と同様の扱いを受けている貴重な地球の気候の記録です。

この地球の気候記録である〝年縞堆積物〟と、理論である「ミランコヴィッチ理論」がよく一致しているようです。

「ミランコヴィッチ」とは何だ?ですが、ミルティン・ミランコビッチ、セルビアの地球物理学者1879 – 1958 です。彼は祖国セルビアで発行されている2,000ディナール紙幣に肖像が使用されているそうです。

彼の功績は、地球規模の気候変動が「ミランコヴィッチ・サイクル」という「3つの周期」で説明したことでした。

<一つ目> 100k年サイクル:地球が太陽をまわる公転軌道から来る。
公転軌道 - 409.jpg

<二つ目> 41k年サイクル:地軸の傾きから来る。
地軸の傾き - 409.jpg
およそ1,000k年前よりも古い時代に、氷期が到来するタイミングを決めていた。その後、何らかの理由で氷期の間隔は100k年に延びた。

<三つ目> 23k年サイクル:地軸のみそすり運動、歳差運動から来る。
歳差運動 - 409.jpg

これらの運動により、地球は太陽からのエネルギー授受が増減し〝気候変動〟となる、という理論です。

太陽の放射エネルギーは地球へ平均 341 w/m2 降り注いでいます。地球への影響は、31%が反射、20%が吸収、49%が透過、していますが、いずれにせよ「ミランコヴィッチ理論」は太陽の放射エネルギーが、地球の惑星活動で地球の気候にどのように影響しているかを明らかにしました。

「ミランコヴィッチ理論」は複雑に見える地球の気候変動を、単純なサイクルに還元して理解できることであります。

中川毅氏は上記著作『人類と気候の10万年史』p156-157で極めてコンパクトに地球の15万年の気候の歴史をまとめています。この研究結果は最近のコンピューターシミュレーションと異なり〝気候変動を理論ではなく「実証」で論じたもの〟ですから、信憑性は高いと考えます。

水月湖 - 768.jpg


実際のデーター(筆者注:「水月湖」の年縞堆積物からの気候復元)を見ると、メタンガスは〝5,000年前〟二酸化炭素は〝8,000年前〟頃から、「ミランコヴィッチ理論」で予想される傾向・サイクルを大きく外れて増加しています。

アノマリー - 409.jpg

この原因をアジアにおける水田耕作の普及、およびヨーロッパ人における大規模な森林破壊にあると主張する学者もいて学会に衝撃を与えたらしい。

これらの人間の活動が有機物の発酵を促し、大量のメタンを放出、森林伐採は生態系の光合成速度を低下させたことで、大気中の二酸化炭素を増加させた。もしも、これらの人間の活動がなければ地球はすでに次の氷期に突入しているはずだ、と。(以上160pより引用)


このグラフでは現在の二酸化炭素濃度が〝280ppm〟と示されています。最近の報道では〝400ppm〟に上昇したと報じられています。この測定値はあくまでも「水月湖」の年縞堆積物からの気候復元ですから矛盾しません。

以上が筆者が理解した、中川毅著『人類と気候の10万年史』の主張の骨子です。


その他、本を読んでいる時に気づいた特筆すべき〝気候変動〟を取り上げてみます。

❖ 現在は地質学用語で〝間氷期〟すなわち寒冷な氷期と氷期の間にある。温暖で暮らしやすい今の気候は、次の氷期が来る一時的な状態に過ぎない。しかし8,000年前頃からアノマリーとなっている。

❖ グリーンランドの氷床から判ったこと〝11.2k年前〟全世界で氷期は突然に終了した。
この時の温暖化振幅は〝5-7℃〟であった。

❖ 14.7k年前、大規模な温暖化があった。これは氷期の途中で起きた。一時的な温暖化で「ダンスガード=オシュガー イベント」の最後のイベントに当たる。

D-Oイベント - 409.jpg

水位が350年ほどの間に〝20m以上〟も上昇した。

その他、示唆に富む〝目から鱗〟が多数語られています。忙しい世の中、少し時間を作って、風説に惑わされないように、このような「本」を読んでみては如何でしょうか!?



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