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備前・旭川の憂鬱 (最近のチャイナの印象 23-29) [日記・雑感]


「宮崎正弘の国際情勢解題」令和5年(2023)7月28日(金曜日)通巻第7839号をほとんど全て転載ですが、一部省略・補足しています。

世界25ヶ国でチャイナの印象を調査(ピューリサーチセンター)した結果「チャイナは好ましくない」が67%、「好ましい」は28%でした。

ピューリサーチセンター:Pew Research Centerは信頼性の高い世論調査機関だそうでして、
 ・設立  2004年
 ・本部  1615 L Street, NW Suite 700 Washington, DC 20036
 ・会員数 120人
 ・所長  Alan Murray (2013/01-)
 ・重要人物 Donald Kimelman
 ・web site PewResearch.org


調査の元ネタは下記を参照ください。

『China’s Approach to Foreign Policy Gets Largely Negative Reviews in 24-Country Survey』
https://www.pewresearch.org/global/2023/07/27/chinas-approach-to-foreign-policy-gets-largely-negative-reviews-in-24-country-survey/ 

2023/07/26に発表した世界25ヶ国、およそ30,000人を対象としたチャイナの印象、世論逃散で
「チャイナは好ましくない」が67%、「好ましい」は28%という結果が出た。

絵図を参照ください。絵図をclick 頂くと見やすくなります。

china - 1024.jpg

マスク外交の失敗、秦剛前外相の戦狼外交への反発、ウクライナ問題での曖昧な姿勢など、嫌われる理由は山のようにあるが、反省しないところが中華思想の国らしい。

とくにチャイナへの期待がひっくり返り、米国の50%がチャイナを脅威と受け止めていることがわかった。

国別ではインドが67%のチャイナ否定という結論には驚かされる。2019年調査では46%だった
 
米国の調査ではチャイナが世界経済のトップにあると誤認識している国民が43%もいる。
ただし、ハイテクでもチャイナが世界一と認識している人は19%だ。

「チャイナが世界平和に貢献している」と考えているのは世界全体の23%で、71%はチャイナの平和貢献など認めない。

「習近平は適切な指導者であるか?」との質問には74%が否定的だった。

チャイナの印象が良いとした国はナイジェリアで69%、ケニアで58%、南アフリカが55%だった。

チャイナの印象がすこぶる悪化したのはドイツ、イスラエル、韓国だった。前述の絵図でも明らかですね。


筆者は思います。ウクライナ戦争中でも、ロシアはアフリカ諸国を集めて会議をやっていました。チャイナは一体一路の他に太平洋諸国へも触手を伸ばしています。

「G7」辺りはまあ〝民主主義の国でしょうが、「G20」になると怪しくなります。ピューリサーチセンターのこのような調査には敬意を払いますが、チャイナは気にも留めないと思います。



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備前・旭川の憂鬱 (40万年前のグリーンランド氷床の溶融 23-28) [日記・雑感]


Carbon Neutral、SDGs、GXとか、とかく〝横文字〟が飛び交います。昔からよく判らないことや、キャッチフレーズで他人様を煙に巻こう、といった〝よこしま:邪〟な心を持っている時に使用されます。

ここ10年ぐらい、「地球温暖化=二酸化炭素悪玉論」が世の中を跋扈していまして、今にも人類は破滅するといった過激な思想が蔓延しています。確かに「地球は温暖化」していますが、その原因が果たして「二酸化炭素増加」でしょうか???

環境とか地球温暖化をビジネスや研究、政治的活動のネタにしたい方々の強い思惑ではないでしょうか。これらの風潮が、環境活動家や環境テロリスト、例えばGreta Thunbergさんを産み落としたと考えます。


昨日、えーえ!?と思わせる配信を見てしまいました。それは、下記の通りです。先ずは一読ください。

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NHK news webより 2023/07/21  8時07分 配信
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230721/k10014137511000.html

250万年もの間、大規模にとけたことがなかったと考えられていたグリーンランドの氷が、およそ40万年前の比較的温暖な時期にとけた可能性があることをアメリカなどの研究チームが発見しました。研究チームは「グリーンランドの氷は気候変動に敏感に反応し、今後数百年で急速にとけるリスクがある」と警鐘を鳴らしています。

この研究はアメリカなどの研究チームが20日、科学雑誌の「サイエンス」に発表しました。

研究チームは、1960年代、グリーンランドにあったアメリカ軍の秘密基地「キャンプ・センチュリー」で、氷の層の下から採取された砂などの堆積物を入手し、最新の技術を使って分析を行いました。

その結果、グリーンランドの氷はいまからおよそ40万年前の地球が比較的暖かかった時期に一度とけたとみられることがわかったということです。

グリーンランドの氷はここ250万年ほどの間、大規模にとけることはなかったと長らく考えられていて、今回の結果はこれを覆すものだとしています。

研究チームは「今回の研究結果はグリーンランドの氷が気候変動に敏感に反応し、今後数百年で急速に氷がとけて海面上昇が起きるリスクがあることを示す」と警鐘を鳴らしています。
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しれっと配信していますので、見逃すかもしれません。

あれだけ「地球温暖化=二酸化炭素悪玉論」を叫んでいた渋谷電視台(別名NHK)、どのようにお考えか、是非見解をお聞きしたいものです。40万年前は、人間の経済活動による二酸化炭素の増加は無かったはずです。

海面上昇は「津波」と異なり、ある日突然には発生しません。年単位で上昇しますので対応が可能です。


現在は間違いなく気温は上昇しています。その原因は二酸化炭素ではありません。まさに多様性でして、都市化によるヒートアイランドや、その他諸々の原因があると思います。何件か当blog に投稿させていただいています。

今回のグリーンランドに関しましては、以下の2本をご笑覧ください。

気候復元 中川毅著『人類と気候の10万年史』より
https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2023-01-18 

「アイスランド・グリーンランド」
https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2016-07-15 



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備前・旭川の憂鬱 (日本版「サムの息子法」の制定 23-27) [日記・雑感]


ソーシャルメディア上には、表題に関連した投稿が数多ヒットします。その一つ、『怖いお話.net【厳選まとめ】連続殺人鬼デビッド・バーコウィッツ~サムの息子事件』を参照ください。https://kowaiohanasi.net/son-of-sam-david-richard-berkowitz  

事件の概略は以下の通りですが、全て前述の『怖いお話.net』からの引用です。

〝1976年から1977年にかけて、ニューヨークで若い女性やカップルら13人を44口径の拳銃やショットガンで銃撃(一人は刃物で刺)して6人を殺害し、8人に重軽傷を負わせた。〟

〝被害者に性的暴行を加えておらず、金品も奪わなかったが「サムの息子(Son of Sam)」 という名でマスコミや警察に支離滅裂な内容の手紙を送りつけ、町を恐怖のどん底に突き落とした。〟

〝1977/08/10、ニューヨーク市に隣接するヨンカーズで逮捕される。その後、殺人とともに2000件の放火を自供、その模様を詳しく記録していた。〟

〝裁判では、弁護側は精神異常による無罪を主張したが、陪審は有罪を評決し、懲役365年となった(ニューヨーク州に死刑がなかったため)。〟

ということです。さらに続きます。

〝サムの息子法(Son of Sam law)は、1977年にアメリカ合衆国ニューヨーク州で制定された法である。犯罪加害者が自らの犯罪物語を出版・販売して利益を得ることを阻止する目的で制定された。〟

〝この法は、犯罪活動の結果として直接取得した金銭を押収することを意図している。犯罪者が自らの事件を商業的に利用して得た金銭を奪うことにより、犯罪の収益性を除去するため、また、犯罪者が自分の罪の悪評を活用できないように作られている。〟

〝多くの場合、書籍出版や映画化などから得た収入は犯罪被害者への補償となる。この法が制定されたきっかけは、出版社が「サムの息子」ことデビッド・バーコウィッツに多額の報酬を提示して手記のオファーを出したことが問題視されたためである。〟

〝同様の法律は他の多数の州で制定されている。犯罪者による罪のビジネス化を防ぐ目的と同時に被害者・遺族救済のための法であり、日本でも同様の法を望む声が出ている。〟

引用は以上ですが、「サムの息子法」の概略はご理解頂けたと思います。当然と言えば当然の「法律」です。

日本でも同様の事例がありました。それは、神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件「酒鬼薔薇聖斗事件」です。

事件の加害男性による手記が発売され、重版まで出版されたようです。これについて、被害者の遺族の了承がないまま販売されたことから、批判の声がありました。

書店によっては取り扱わないことを決めたところもあれば、注文を受けたものだけ取り扱い、店頭には並べないといった措置をとるところもあるようです。消費者の間でも、手記を買わないように、さらには手記を取り扱った出版社の他の書籍も買わないようにといった不買運動も広がったようです。


このような状況下で、アメリカの法律である「サムの息子法」を日本にも制定すべきであるという声がありました。

日本においては、犯罪で得たものに関する規定としては、刑法19条が犯罪によって得た物や犯罪行為の報酬として得た物について没収するというと定めています。

しかし、自らの犯罪行為を手記として出版して得た利得についてはこれらの条文には該当しません。例によって法律の想定範囲外ということです。

事件からかなり時間が経過した2015/07/01、民主党の初鹿明博さん、当時衆議院議員が「日本版「サムの息子法」制定に関する質問主意書」質問第二九九号を国会に提出しました。ただ内容がかなりおかしい?と思います。

それは〝版元の出版社は「加害男性は印税収入は事件の被害者や遺族への賠償金に充てたいと話している」と説明しているとのことですが、支払い義務がある訳ではないことを考えると、確実に履行されるのか疑問がもたれるのは当然のことだと感じます。〟

〝その一方で、憲法第二十一条で保障する言論、出版等の表現の自由を守ることを考えると一律に出版を差し止めることは難しいと考えます。〟

そして、ここが問題の文言でして〝一般的に加害者が刑務所等から出所し仕事に就くことは非常に困難で、資力が無い場合は賠償金の支払いが出来ないことを考えると、本を出版等することで収入を得ることを否定するのではなく、その収入から確実に賠償金の支払いが行われる制度が必要だと考えます。〟とありますので、国民や犯罪関係者に〝誤ったメッセージ〟を発信する可能性があります。「サムの息子法」とな真逆の効果となります。

幸い、当時の衆議院議長、大島理森さんは、〝一般論として、自己の犯した罪に関する出版物により収益を得ることを規制するような制度を設けることについては、憲法の保障する表現の自由等の観点から、慎重な検討が必要であると考えている。〟ということで、法制化は流れました。


前置きが大変長くなりましたが、ここからが当投稿の「本論」です。

最近、連合赤軍事件の重信房子さんが新著『はたちの時代』を上梓したことを知りました。

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暑い夏が余計に熱くなりますが...重信房子さんは新極左翼活動家、元日本赤軍中央委員で最高幹部でした。

1972/05/30にイスラエル・テルアビブ近郊都市のロッド空港で26人の市民を虐殺したテロリストでした。〝でした〟と過去形で述べましたが、一応、刑期は終了し今は市民権を回復していると思われますので。そして、今でも彼女の「支援者の会」(筆者はその存在を具体的には知りせん)があるそうでして、ヒョットすると、彼女は今でもテロリストかも知れません。

最近の彼女の動向は 2023/07/17配信 47NEWS 連合赤軍事件の過ちはどこに? 運動の内部から反省・分析  重信房子さんの新著『はたちの時代』を参照ください。 https://nordot.app/1051909235439075336?c=39546741839462401 

筆者のような団塊の世代には、大学時代の懐かしいお話ではありますが、今でも怒りがこみ上げてきます。ヘルメットの話が出てきますが、それは以下の写真を参照ください。

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彼女に〝さん〟を付けて呼ばなければならないのは忸怩たる思いがします。刑期は終了しているのですが、何故にこのような回想録を出版する理由があるのか理解できません。

単に出版社のビジネスだ、と言ってしまえばそれまでですが、元テロリストを称賛する〝誤ったメッセージ〟を世間に与えます。ましてや、この投稿は彼女の失敗から〝現代社会も学ぶところがある〟といった、呑気な肯定的な文脈になっています。

最後の結論めいた文章〝純粋な正義感から出発した若者たちの運動がなぜ道を誤ったのか〟は根本的に間違っています。〝純粋な正義感から出発〟は、純粋だ!と言えば何をしてもいいのか?と。

最後の〝関わった人々の氏名をあえて記さなかったり、イニシャルにしているのは、記録としては残念だが、関係者にとって「あの時代」はまだ終わっていないからだろう〟に至っては「反省」を全く感じられません。

元テロリストを持ち上げる姿勢は絶対に許せませんし、許してはいけません。出版社側は〝言論の自由・出版の自由〟を前面に出しても、「自由」には必ず「規律」が伴います。規律を無視するのであれば、物事は無秩序・出鱈目となり、まさに彼女らの思う壺となってしまします。



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備前・旭川の憂鬱 (特別展「美をたどる 皇室と岡山」  23-26) [日記・雑感]


岡山県立美術館で「三の丸尚蔵館―開館30年の歩み」特別展「美をたどる 皇室と岡山~三の丸尚蔵館収蔵品を鑑賞しました。

ここ数日、とんでもない暑さでして、涼を求めたことも事実です(笑)。

改めて記述することもないのですが〝「三の丸尚蔵館」は、皇居の東御苑内において、皇室に代々受け継がれた絵画・書跡・工芸品などの美術品を収蔵管理・調査・公開する施設です。

現在約9,800点におよぶ収蔵品は、皇室から国への御寄贈品、御遺贈品などからなり、古代から近現代までの各時代・さまざまな分野にわたる貴重な作品が数多く収められている〟そうです。

三の丸尚蔵館では令和元年度から新施設の建設工事が始まり、令和7年度の全館完成までの移行期間中に、より多くの方々に作品をご覧いただき、皇室と日本文化に親しんでいただきたいとの方針のもと、各地で展覧会が実施されています。


ど素人の筆者がああだこうだとご紹介するより。単純に〝2点〟リーフレットとHPよりご紹介します。この特別展は前期・後期の2部制でして、後期も行きたいと思っています。

何分国宝級が多いものですから、通常の展示よりも照明が暗く、それが反って重厚感を醸し出します。

では先ず、国宝・高階隆兼「春日権現験記絵」巻11の部分、延慶2年1309です。

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宮内庁のHPより〝本格的な大和絵技法による精緻な描写は卓抜しており、当時の風俗を知る史料として、また痛みやすい絹地の絵巻が完全な姿で、700年もの長年月を経て現存しているという貴重性も加わり、わが国屈指の文化遺産〟という事です。


もう一つは、横山大観「秩父霊峰春暁」 昭和3年1928です。いかに大観先生といえども、秀作と普通の作品があると思いますが、これは正真正銘の大観の秀作と思いました。

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岡山は本日2023/07/20〝梅雨明け〟です。多分、1週間ほど遡って〝梅雨明け〟だったと思います。



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備前・旭川の憂鬱 ( カナダ AIIB離脱示唆 2023/06/14 23-25) [日記・雑感]


2023/06/15 【ニューヨーク、北京時事】カナダのフリーランド財務相は14日、同国が加盟するアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、「すべての活動への参加を直ちに中断する」と表明し、中国が主導するAIIBからの脱退を示唆した。カナダ出身のAIIB幹部が、同行は中国共産党に支配されていると批判し、辞任したことを受けた。

と配信しています。

その後、日本のメディアは筆者が見る限り、続報を発信していません。AIIB発足の頃のことを思い出して、あの時の政府の判断は正しかったのだ!と改めて感じました。


2023/07/04配信の[The News Lens Japan] は以下のように述べています。

カナダ政府 チャイナ主導のAIIBの取引停止、脱退の可能性も示唆。AIIBカナダ人幹部〝AIIBはチャイナ共産党に支配され有害な文化を持っている〟と批判。

ピカード氏は今年3月に国際広報責任者に就任した。英国のフィナンシャル・タイムズ紙によると、ピカード氏は〝チャイナ共産党はAIIB内部の目に見えない政府のようなものだ。私はそれに参加したくない〟そして〝私は利用される愚か者になりたくはないのだ〟と述べた、そうです。


AIIB「アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank)」の設立経緯と現状を見てみます。

2014年にチャイナの主導で57ヶ国を創設メンバーとして設立されました。本店は「北京」です。

2023/06現在、92ヶ国・地域が加盟しています。フランス・イタリア・英国・オーストラリアなど西側諸国も含まれていまして、AAA格付けを取得しています。日本・アメリカは参加を見送っていてます。

AIIBは発足当初、投融資額を100億米ドルから150億米ドルと想定、累計では740億米ドル程度になるはずでしたが、実際は200億米ドル程度(日経2020/07/28)のようです。単年度では68億米ドル程度だそうです。

そしてこれが最大の問題ですが、AIIBはチャイナが筆頭株主で議決権26.6%を持っていることです。


日本・アメリカは、1966年に設立した、ADB「アジア開発銀行(Asian Development Bank)を主導しています。2023/06現在、67加盟国・地域からなり、内48がアジア・太平洋の国・地域です。本店は「マニラ」です。黒田東彦前日銀総裁もこのADBのトップでした。

出資比率は日本が15.624%、次がアメリカです。ADBの投融資額は年間で200億米ドルの規模となっています。


そもそもアジアの開発には、既にADBがあるにも関わらず、チャイナはなぜAIIBを発想したのか?です。

これは明らかでして〝下心丸見え〟です。チャイナ主導の〝一体一路〟計画を早期に実現するため、他国からもお金を出させよう、といった狡猾な発想と、日本・アメリカの既存秩序への挑戦です。

さらに言えば、アメリカ主導の既存の国際金融システムに対抗する機関を創設するためです。アメリカが世界の覇権国家となったのは「世界銀行」と「IMF(国際通貨基金)」を中核とした国際金融システムを構築したことと大きく関係しています。


そこで再度2014年当時の状況を思い出してみましょう。

すでにアメリカはAIIBに不参加を決めていました。日本は安倍政権でして、チャイナとの関係より安全保障で重要な「日米安保条約」を優先し、AIIB不参加を決めました。

当時の副総理兼財務大臣の麻生太郎氏は、融資審査に不明瞭な部分があるので、極めて慎重な態度を取らざるを得ないとし、2015/03末時点で不参加、見送る方針を明らかにしました。

麻生太郎さんはメディアからは嫌われ者でして(筆者は過去数回、当blogへ投稿しています)、未曽有をみぞうゆうと読んだとか、チェコ訪問時、うっかりと既に分離独立したチェコをチェコスロバキアと言ったとか、ホテルオークラのバーで酒を飲んでいるとか、兎に角、揚げ足取りの絶好の対象人物でした。

しかし、国を左右する重要な決定は間違っていませんでして、いかにメディアは無責任かを示しています。

これに対し、日本がこのままAIIB不参加であるならば、アジアでのビジネスチャンスに乗り遅れるのではないか?という産業界やメディアからの心配〝バス乗り遅れ論〟の声もありました。

親中派議員として知られる福田康夫元総理、当時幹事長の二階俊博、当時民主党の岡田克也議員、なんとAIIBの諮問委員の鳩山由紀夫元総理らは、AIIBへの参加を決断すべきと主張していました。

当時の産経・読売による世論調査では、参加に反対とする声が過半数となっており、日経の調査では〝AIIBのイメージはチャイナの言いなりになりそう〟が、61%、〝組織運営が不明瞭〟が22.5%でした。


現在、どうもAIIBの投融資額は伸び悩んでいるようです。新型コロナの影響で、インフラ投資が遅れているとされていますが、そもそも投資案件自体の開拓も満足にできていないようです。また投融資を実行する専門家の人材も不足しています。

足元の職員の数は500人ほどでして、ADBの10%強程度しかいません。


チャイナが影響力を拡大するための道具という側面が見え見えのAIIBに関しては、参加国も警戒していまして、「G7広島サミット」においても、チャイナ(国名は書かれていない)の行動を牽制する内容が成果文書のセッション5「経済的強靱性・経済安全保障」に記載されています。

もっともAIIBとADBが完全に対立してるのではありません。ADB側も〝大人の対応〟をしていまして、例えば、2016/06、ADBとAIIBはパキスタンの高速道路建設に対して協調融資を行うことを決めています。

もしも、このAIIBに日本が参加していたら、既に顕在化している「債務の罠」ではありませんが、不良債権の後始末を全て日本が払わされることになったでしょう。チャイナはそのくらいの事は〝昼飯?前〟です。


以上のような状況でして、日本に限らないと思いますが、メディアには最大限のリテラシーと注意深さを持って見聞きしたいものです。不利益を被るのは我々日本人です。先ずメディアは〝疑いましょう!〟



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備前・旭川の憂鬱 ( グリーン成長に関する厳しい真実 23-24) [日記・雑感]


『The Economist』Jun 29th 2023 に、大変興味深い記事の投稿がありました。

それは今までの欧州にありがちな〝グリーン・トランスフォーメーション〟一色ではなく、地に足の着いた議論です。キャプションは〝How misfiring environmentalism risks harming the world’s poor〟です。

まあ、環境主義の失敗が世界の貧困層に、いかに損害を与えているか!?とでも訳すのでしょうか。 

表紙をご覧ください。「Hard truths about green growth:グリーン成長に関する厳しい真実」とあります。
The Economist - 409.jpg

本文は以下をご覧ください。ただし、有料記事です。冒頭の一部を紹介します。
https://www.economist.com/leaders/2023/06/29/how-misfiring-environmentalism-risks-harming-the-worlds-poor?utm_medium=social-media.content.np&utm_source=twitter&utm_campaign=editorial-social&utm_content=discovery.content 
 
要約:
気候変動を「緩和」だけで語る時代は終わった。途上国の「適応」こそ真の問題だ。そして両者に使える財源にはトレードオフがある。「グリーン成長」などという夢を語る時代は終わったのだ。


「開発」と「気候変動」のトレードオフ:二律違反は避けられません。
世界の最貧層は、指導者が厳しい真実を直視しない限り、損害を受ける可能性があります。

〝熱心な人〟と〝強迫観念に取り憑かれた人〟にはやれやれです。誰もが常にすべてに対してバランスの取れた見方をしていれば、何も成し遂げられないでしょう。

しかし、運動家の世界観が政策決定の堅固な機構や世界的なフォーラムに浸透すると、誤った決定が下される傾向があります。

残念ながら、それは気候変動の世界で特に当てはまります。その一例が、地球温暖化が世界の最貧困層に与える影響です。

地球の温暖化に伴い、干ばつ、洪水、嵐などの極端な現象がより一般的かつ深刻になっています。多くの場所が住みにくくなっています。

今後数10年間で、マリからメコンデルタに至るまで、多くの弱い立場にある農家は、作物が不作になる頻度が高くなるでしょう。そして資源が不足するにつれて、より多くの戦闘が勃発するでしょう。


以上です。少し古い投稿になりますが、https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2018-09-04 も参照ください。今回の『The Economist』と同じことを述べています。



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