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備前・旭川の憂鬱 (日本版「サムの息子法」の制定 23-27) [日記・雑感]


ソーシャルメディア上には、表題に関連した投稿が数多ヒットします。その一つ、『怖いお話.net【厳選まとめ】連続殺人鬼デビッド・バーコウィッツ~サムの息子事件』を参照ください。https://kowaiohanasi.net/son-of-sam-david-richard-berkowitz  

事件の概略は以下の通りですが、全て前述の『怖いお話.net』からの引用です。

〝1976年から1977年にかけて、ニューヨークで若い女性やカップルら13人を44口径の拳銃やショットガンで銃撃(一人は刃物で刺)して6人を殺害し、8人に重軽傷を負わせた。〟

〝被害者に性的暴行を加えておらず、金品も奪わなかったが「サムの息子(Son of Sam)」 という名でマスコミや警察に支離滅裂な内容の手紙を送りつけ、町を恐怖のどん底に突き落とした。〟

〝1977/08/10、ニューヨーク市に隣接するヨンカーズで逮捕される。その後、殺人とともに2000件の放火を自供、その模様を詳しく記録していた。〟

〝裁判では、弁護側は精神異常による無罪を主張したが、陪審は有罪を評決し、懲役365年となった(ニューヨーク州に死刑がなかったため)。〟

ということです。さらに続きます。

〝サムの息子法(Son of Sam law)は、1977年にアメリカ合衆国ニューヨーク州で制定された法である。犯罪加害者が自らの犯罪物語を出版・販売して利益を得ることを阻止する目的で制定された。〟

〝この法は、犯罪活動の結果として直接取得した金銭を押収することを意図している。犯罪者が自らの事件を商業的に利用して得た金銭を奪うことにより、犯罪の収益性を除去するため、また、犯罪者が自分の罪の悪評を活用できないように作られている。〟

〝多くの場合、書籍出版や映画化などから得た収入は犯罪被害者への補償となる。この法が制定されたきっかけは、出版社が「サムの息子」ことデビッド・バーコウィッツに多額の報酬を提示して手記のオファーを出したことが問題視されたためである。〟

〝同様の法律は他の多数の州で制定されている。犯罪者による罪のビジネス化を防ぐ目的と同時に被害者・遺族救済のための法であり、日本でも同様の法を望む声が出ている。〟

引用は以上ですが、「サムの息子法」の概略はご理解頂けたと思います。当然と言えば当然の「法律」です。

日本でも同様の事例がありました。それは、神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件「酒鬼薔薇聖斗事件」です。

事件の加害男性による手記が発売され、重版まで出版されたようです。これについて、被害者の遺族の了承がないまま販売されたことから、批判の声がありました。

書店によっては取り扱わないことを決めたところもあれば、注文を受けたものだけ取り扱い、店頭には並べないといった措置をとるところもあるようです。消費者の間でも、手記を買わないように、さらには手記を取り扱った出版社の他の書籍も買わないようにといった不買運動も広がったようです。


このような状況下で、アメリカの法律である「サムの息子法」を日本にも制定すべきであるという声がありました。

日本においては、犯罪で得たものに関する規定としては、刑法19条が犯罪によって得た物や犯罪行為の報酬として得た物について没収するというと定めています。

しかし、自らの犯罪行為を手記として出版して得た利得についてはこれらの条文には該当しません。例によって法律の想定範囲外ということです。

事件からかなり時間が経過した2015/07/01、民主党の初鹿明博さん、当時衆議院議員が「日本版「サムの息子法」制定に関する質問主意書」質問第二九九号を国会に提出しました。ただ内容がかなりおかしい?と思います。

それは〝版元の出版社は「加害男性は印税収入は事件の被害者や遺族への賠償金に充てたいと話している」と説明しているとのことですが、支払い義務がある訳ではないことを考えると、確実に履行されるのか疑問がもたれるのは当然のことだと感じます。〟

〝その一方で、憲法第二十一条で保障する言論、出版等の表現の自由を守ることを考えると一律に出版を差し止めることは難しいと考えます。〟

そして、ここが問題の文言でして〝一般的に加害者が刑務所等から出所し仕事に就くことは非常に困難で、資力が無い場合は賠償金の支払いが出来ないことを考えると、本を出版等することで収入を得ることを否定するのではなく、その収入から確実に賠償金の支払いが行われる制度が必要だと考えます。〟とありますので、国民や犯罪関係者に〝誤ったメッセージ〟を発信する可能性があります。「サムの息子法」とな真逆の効果となります。

幸い、当時の衆議院議長、大島理森さんは、〝一般論として、自己の犯した罪に関する出版物により収益を得ることを規制するような制度を設けることについては、憲法の保障する表現の自由等の観点から、慎重な検討が必要であると考えている。〟ということで、法制化は流れました。


前置きが大変長くなりましたが、ここからが当投稿の「本論」です。

最近、連合赤軍事件の重信房子さんが新著『はたちの時代』を上梓したことを知りました。

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暑い夏が余計に熱くなりますが...重信房子さんは新極左翼活動家、元日本赤軍中央委員で最高幹部でした。

1972/05/30にイスラエル・テルアビブ近郊都市のロッド空港で26人の市民を虐殺したテロリストでした。〝でした〟と過去形で述べましたが、一応、刑期は終了し今は市民権を回復していると思われますので。そして、今でも彼女の「支援者の会」(筆者はその存在を具体的には知りせん)があるそうでして、ヒョットすると、彼女は今でもテロリストかも知れません。

最近の彼女の動向は 2023/07/17配信 47NEWS 連合赤軍事件の過ちはどこに? 運動の内部から反省・分析  重信房子さんの新著『はたちの時代』を参照ください。 https://nordot.app/1051909235439075336?c=39546741839462401 

筆者のような団塊の世代には、大学時代の懐かしいお話ではありますが、今でも怒りがこみ上げてきます。ヘルメットの話が出てきますが、それは以下の写真を参照ください。

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彼女に〝さん〟を付けて呼ばなければならないのは忸怩たる思いがします。刑期は終了しているのですが、何故にこのような回想録を出版する理由があるのか理解できません。

単に出版社のビジネスだ、と言ってしまえばそれまでですが、元テロリストを称賛する〝誤ったメッセージ〟を世間に与えます。ましてや、この投稿は彼女の失敗から〝現代社会も学ぶところがある〟といった、呑気な肯定的な文脈になっています。

最後の結論めいた文章〝純粋な正義感から出発した若者たちの運動がなぜ道を誤ったのか〟は根本的に間違っています。〝純粋な正義感から出発〟は、純粋だ!と言えば何をしてもいいのか?と。

最後の〝関わった人々の氏名をあえて記さなかったり、イニシャルにしているのは、記録としては残念だが、関係者にとって「あの時代」はまだ終わっていないからだろう〟に至っては「反省」を全く感じられません。

元テロリストを持ち上げる姿勢は絶対に許せませんし、許してはいけません。出版社側は〝言論の自由・出版の自由〟を前面に出しても、「自由」には必ず「規律」が伴います。規律を無視するのであれば、物事は無秩序・出鱈目となり、まさに彼女らの思う壺となってしまします。



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