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備前・旭川の憂鬱 (「原発再稼働の〝是〟を問う」17-25) [日記・雑感]


九州電力・川内原子力発電所は〝世界で一番厳しい〟と云われる原子力規制委員会の審査に合格し、2015年に再稼働しました。

関西電力・高浜4号炉は5月17日に再々稼働となります。これはおかしいですね。裁判官によって判決が正反対になりました。刑事事件と異なり「裁判所では判断できない」案件ということになりますので、裁判を断るべきです。

諫早湾の水門の開閉も全く同様でして、裁判所が「三権の独立」を尊重するのは大いに結構ですが、裁判できない案件には毅然とした態度をとるべきです。見方によっては、裁判所は日本国民を愚弄している事になります。

〝原発再稼働〟を科学技術の観点でド素人の検証ですが、数値は電力会社のHPやSNS上のデーターに頼りました。

川内原発は再稼働後2016年4月14日と16日の2回の「熊本地震」に遭遇しました。この時の川内原発が被った地震の影響は、耐震設計基準:620 gal、自動停止基準:160 gal に対して、わずか8.6 gal でした。(galは加速度の単位ですが、ここでは数値だけを参照下さい)

この技術的事実を確認したか否かは定かではありませんが〝即刻川内原発を停機すべき〟という不安の声が発せられました。

原発が安全か否かを「福島第一原発」と「女川原発」で技術的に比較してみます。勿論〝原発は考えるまでもなく危険に決まっている〟との声を筆者も承知していますが本当でしょうか?

耐震構造 (これが不安を感じる大きな要素と思っています) の参考に資するデーターとして、東日本大震災時の東北電力・女川原子力発電所を挙げたいと思います。

東日本大震災では、女川原発の震度計は震度6弱を観測しました。旧耐震基準値ですが、設計基準:580 gal、自動停止基準:200 gal に対し、1号機で540 gal、2号機で607 gal、3号機で573 gal を記録しました。数値だけ見れば基準値の真上にあり、際どいところでした。

実は女川原発は過去数回、マグニチュード7クラスの地震に襲われています。最近では2003 年5 月26 日宮城県沖の地震、マグニチュード7.1 (女川の震度不明、周囲からの推定は震度5弱) 及び2005 年8 月16 日 宮城県沖、マグニチュードM7.2女川では震度5弱の地震です。特に問題は発生していません。

女川原発1号機の外部電源が変圧器の故障のため使用不能となりました。津波ではなく地震そのものの影響で福島第一原発とほぼ同じ状況になりました。しかし外部電源の復旧までの間、非常用ディーゼル発電機で11時間冷却を行う事ができました。2号機・3号機の外部電源が喪失することはありませんでした。

さらに女川原発には約13mの高さで津波が到達しました。原発は14.8mの場所に設置してあった為、地震で1mの地盤沈下があったものの直接の津波到達は無く、海岸線に最も近い2号機の原子炉建屋の地下3階が約2.5m浸水、また3号機の冷却系に海水が侵入するに留まりました。


片や福島第一原子力発電所ですが、最大加速度は設計値の約126パーセントの550galを記録していますが、物理的損傷は軽微であったようです。

福島原発は台地を掘削し、標高10mに設置されました。東日本大地震の津波は14 m - 15 mに達し原発を襲い、地下に設置されていた非常用ディーゼル発電機が海水に浸かって故障し、さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど多数の設備が損傷し、炉の冷却能力を失いました。

ここが女川原発と決定的に違うところです。〝たら・れば〟を云っても今となってはせん無い事ですが、津波の被害が女川原発と同程度であれば、冷却が可能であったため炉心溶融に至らなかったと思います。

筆者の感想ですが〝世界で一番厳しい〟と云われる原子力規制委員会の審査に合格〟した原発は「技術的に安全」ですから再稼働は可能です。

次に「経済的」な検証です。

九州電力のHPの中の「経営概況説明資料」に、川内原発の稼働で収益が〝220億円〟改善されたとあります。この数値の根拠は2016年原発は12,455百万kWhを発電、稼働率が31.9%と記載されています。

原発は定期修理が13か月ごとで3か月程度かかりますので、稼働率は75%程度と考えられます。稼働率が2.35倍になると収益改善は〝510億円〟と推測できます。

川内原発の発電能力は1号機:95万kWと2号機:93万kWですから、合計は188万kWとなります。九州電力は『原発100万kW当たり〝271億円〟収益改善』となります。

現在国内の原発の発電能力は、既に廃炉がきまっている福島第一・第二、美浜第一・第二。敦賀第一、玄海第一、等を除くと、日本の合計発電能力は大凡〝3,700万kW〟有ります。

各電力会社で原発稼働による収益改善は異なると思いますが、極めて荒っぽい計算では、日本全体で

271億円/100万kW x 3,700万kW ≒ 1兆円 

の収益改善となります。これだけのお金があれば、保育士さん・介護士さんの給与改善は直ぐにでも可能です。

現在東京電力は除染費用、廃炉費用、被害者補償、等で多額の〝お金〟が必要です。このお金の出どころが問題となっています。柏崎刈羽原発は政治的な理由でと東電の原子力規制委員会への対応が不味く再稼働の目途が立っていません。柏崎刈羽原発の設備能力は〝820万kW〟有りますから、九州電力の収益改善値から推測すると、少なくとも年間2,220億円の収益改善が期待できます。

東京電力は素人の筆者ごときに言われなくても、当然判っていると思いますが、万難を排して柏崎刈羽原発の再稼働を実行する事です。「毒 (=柏崎刈羽原発) をもって毒 (福島両原発) を制す」という〝故事ことわざ〟がありますね!!

電力会社のHPを検索エンジンで探してください。結構有益な情報が公開されています。興味のある方は是非ご覧ください。

蛇足ですが、拙blog (「原発事故の除染費用」16-51) http://ironbridge-uk.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07 もご覧ください。



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