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備前・旭川の憂鬱 (囁かれている「ウクライナ」支援疲れ 23-45) [日記・雑感]


世界の常識と日本人一般の方々との感覚のズレが大きいのが〝平和な日本〟という認識です。

戦後78年間、今日まで〝日本国内〟では、60年安保騒動・赤軍派事件・オームサリン事件の極(敢えて「極」とします)一部の例外を除き、戦争・内戦・紛争・テロは経験していません。

しかし、視線を海外に注ぐと、〝憲法9条〟とは関係なく、戦争・内戦・紛争・テロの連続でして、絶えることがありません。日本がなぜ戦争・内戦・紛争・テロに巻き込まれることがなかったか、それは日本国民の多くの方々が〝賢明〟で革命の誘惑に与しなかったことです。

そして、好むと好まざるとに関わらず〝日米安保条約〟があることです。

最後に〝地政学的に有意な位置〟にあることが考えられます。ウクライナや中東の地続きの国々を見ると明らかですが、日本は周囲の海洋が天然の要塞の役目を果たしています。


家村和幸著『なぜ戦争は起きるのか』宝島社新書2013より以下を引用し、一部加筆します。

〝小国は拡大を、大国は支配を、老いたる国は延命を願うものである限り、どうして、今日の均衡が確実なものであると云えるのであろうか?〟と元フランス大統領Charles de Gaulle は言ったとか。

また、イギリスの軍事評論家、軍事史研究者、戦略思想家のSir Liddell-Hart リデル・ハートは〝戦争を研究すればするほど、その原因は政治的あるいは経済的というよりは、心理的なものとあると思えてくる〟と結論付けたそうです。

サミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』1993で〝文明間の対立などから、テロに代表される過激な行動をとる組織が生まれる〟と述べています。

ハンチントンは『文明の衝突』で、世界を「8つの文明圏」に分類していますが、日本は一つの独立した「日本文明圏」としています。その理由は〝日本を固有の文明として認識し、チャイナ文明から派生して西暦100年から400年時期に出現した。〟と述べています。

これと同じ文脈で、ハンチントンの『文明の衝突』でウクライナを見てみましょう。かれは既に1994年に「西欧文明圏」と「東方正教会文明圏」の境界上にウクライナがあると考えています。下図を参照ください。

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だからと言って、勝手に「力による一方的な現状変更」を行っていいはずがありません。


ハンガリーのオルバン・ビクトル首相は、以前〝ウクライナ戦争はスラブ民族間の戦いだからワシ等(NATO)は知らん〟と主張していましたが、【ブリュッセルAFP=時事】以下の様に配信しています。

ハンガリー首相、ウクライナ支援阻止 EU加盟交渉で合意後 2023/12/15
欧州連合(EU)首脳会議でウクライナとの加盟交渉を開始することが決定した翌15日、これに反対し採決を棄権したハンガリーのオルバン・ビクトル首相が、EUによる500億ユーロ(約7兆8000億円)規模のウクライナ支援を阻止した。
[中略]
ハンガリーはEU加盟国ながら、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始後も、オルバン氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と緊密な関係を維持している。
EUは14日の首脳会議で、ウクライナとモルドバの加盟交渉を開始することで合意した。この採決の際、オルバン氏はハンガリー抜きで進めることに合意し退席。後にSNSに投稿した動画で「まったくばかげた、理不尽で誤った決定だ」と述べ、「他の26か国はこの決定を下すことに固執した」と批判した。


それでは最重要国「アメリカ」はアメリカで自国優先主義(ethnocentrism)に向かっています。アメリカ議会はご案内の通り「つなぎ連邦予算」が議会で通りません。これは下院で多数を取るGOP共和党が〝ウクライナ支援より、強固な国境警備対策〟を優先せよと主張しているからです。

GOPは来年の大統領選挙をにらみ、バイデン政権が最も力を入れているウクライナ支援を頓挫させようという思惑があるんだそうです。

これは一大事です。ウクライナの軍事支援の〝40%〟を失いますので、継戦能力が著しく低下します。プーチンはさぞかしほくそ笑んでいるでしょう。

こんな状況下、日経新聞の秋田浩之さん(日経の国内外の外交、安全保障問題のエキスパート)は1ヵ月ほど前にウクライナに出向き、複数の海外メディアと共同でゼレンスキー大統領にインタビューしています。それを「日経プラス9サタデー」で話されていました。TV画面を参照ください。

ゼレンスキー大統領は率直に〝戦況が思わしくない〟と認識している。

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反転攻勢は膠着状態だ。

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ウクライナ軍とロシア軍との戦力比較は下記の通りです。

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このままでは、早晩ウクライナは敗戦するだろう、という報道が出始めています。日本は不幸にも殺傷能力のある武器の輸出ができません。支援の内容が限定されています。

アメリカに目覚めて頂くにしても、次期大統領がもしもトランプの再選となれば、ウクライナは終焉を迎える可能性が「大」です。

アメリカを含む西側の国はもう少し、ウクライナは理不尽にも他国に攻め込まれていることを、真剣に考えてもいいのではないでしょうか!?



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