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備前・旭川の憂鬱 (〝はち〟や〝あり〟の《半倍数性という特殊な生殖》 20-40) [日記・雑感]


〝コロナ籠り〟で読んだ本ではありません。でもとっても新鮮な本でした。それは橘玲(あきら)著〝「読まなくていい本」の読書案内〟ちくま文庫、です。表題が若干挑発的ですから〝怪しい香〟がしたのですが、橘玲さん著ですから兎に角読み始めました。

第2章 進化論 の件です。進化論と言えば、そう勿論〝ダ―ウインの進化論〟です。その中で81ページから85ページに〝「女王」は産卵マシーン〟という項だてがあります。

これは目から鱗でした。今まで全く考えたこともありませんでした。それはイギリスの生物学者ウイリアム・ハミルトンの主張する学説《生物は血縁度を最大化する》です。

最初、何のことやらピンと来ませんでした。なぜならば筆者が学校で習った遺伝は、メンデルの法則と、人間の場合は雌雄を決める〝X遺伝子+Y遺伝子〟ぐらいですから。

人間の生殖は以下の図のような遺伝法則ですから男女がほぼ同数生まれます。経験則では僅かに男性の誕生が多いそうです。

性染色体 - 409.png


ところが、女王を中心に大きな集団・コロニーを作る〝はち〟や〝あり〟は、《半倍数性という特殊な生殖》をすることが判って来たというものです。少しヤヤコシく理解しずらいのですが、本文と図を借用します。


半倍数性の昆虫は、メスが2組のDNAを持つ「2倍体」なのに対し、オスは未受精卵から育つためDNAは1組しかない。これを〝半倍体〟で、2倍体のメスと半倍体のオスが両性生殖するのが《半倍数生殖》という遺伝だそうです。

メスはオスと交尾しなくてもオスを生むことができます。

生まれたオスは半倍数でして、メスの2組の遺伝情報から〝1組〟を受け継ぎますから、血縁度は〝1 / 2〟です。ですからオスから見れば、オスとは関係なしにメスが勝手にオスを生むのですから、生まれたオスの血縁度は〝0〟です。

メスがメスを産もうとすれば、2組のDNAが必要となるので、オスと交尾をしなればなりません。こうして生まれた娘のメスの血縁度は、母親のメスから見れば2組の遺伝情報から1組を受け継いでいるので、母親から見た血縁度は〝1 / 2〟です。

しかし、父親のオスから見た娘のメスの血縁度は、オスの1組しかない遺伝情報を全て受け継いでいるので、血縁度は〝1〟となります。

今までの常識とは掛け離れていますので理解しずらいかと思います。

この〝はち〟や〝あり〟がドンドン子供を作って行くと、沢山の兄弟姉妹ができます。その結果血縁度がどうなるか!?

オスの息子にとっての兄弟はみんな同じメスの母親から〝1 / 2〟の遺伝情報を受け継いでいるのですから、その血縁度の平均は〝1 / 2〟となります。同様にオスの息子にとっての姉妹も同じメスの母親から〝1 / 2〟の遺伝情報を受け継いでいるので。血縁度はやはり〝1 / 2〟になります。

一方メスの娘から見た兄弟姉妹の血縁度はどうなるのでしょうか!?

メスの娘にとって兄弟は、オスの父親の遺伝子を持っていません。メスの母親の遺伝子を〝1 / 2〟を受け継いでいる〝だけ〟ですから、血縁度は〝1 / 4〟となります。

これに対してメスの娘にとって姉妹は、オスの父親の遺伝子を全て受け継いでいますので、その血縁度は〝3 / 4〟となります。

この奇妙な遺伝を図で示します。余計に判り難くなったかも知れません。

IMG - 512.jpg


こんな事に感激しても、新型コロナウイルス禍には関係ありませんが、世の中は【広い】と思いました。



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