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備前・旭川の憂鬱 (「地球無風化」電力確保に難題 22-52) [日記・雑感]


Financial Timesが『「地球無風化」電力確保に難題』を2022/11/21投稿しています。以下、引用します。筆者の勝手な考えを[※]で記しました。

異常気象と言えば、ショッキングな出来事を思い浮かべがちだ。腰までつかるほどの洪水、焼けつくような熱波、飢餓を招く渇水――。

[※]副題として、

長期に風が吹かない現象が起こることを想定し、電気を確保する方法を考えておく必要がある=ロイター

異常気象の一種である「渇風」があまり注目されないのは、すさまじさがないからだろう。欧州では2021年夏に風がほとんど吹かず、平均風速がこの数十年で最低になった国もある。

[※]この国はスペインです。拙blog https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2021-10-28 をご笑覧ください。DER SPIEGEL の表紙が印象的です。

これは自然変動が一因かもしれない。だが気候変動によって長期的に風速が落ちるという「地球無風化」の予測とも合致する。欧州では風力が電源構成の重要部分を占めている。電力各社は気温が上昇し、凪(なぎ)状態に陥った地球で電気を確保する手立てを考えなければならない。

2021年は欧州の北西部や中央に位置するアイルランド、英国、デンマーク、ドイツ、チェコで年間平均風速が統計を取り始めた1979年以降最も、あるいは2番目に低かった。

[※]こんな事を今頃になって白昼堂々と言われても困ります。ところが・ところが、

「異常気象にも関わっている可能性」2021年とは対照的に、英国ではこの11月、陸上と洋上を合わせた30分間の風力発電量が20ギガ(ギガは10億)ワットと過去最高を記録した。

英ブリストル大学で気象が発電に及ぼす影響を研究しているハナ・ブルームフィールド氏は風が発生する仕組みは複雑で、異常気象の原因を正確に突き止めるのは難しいが「地球無風化が関わっている可能性がある」とみる。

使う気象モデルによっても、地球温暖化が究極的に風速を上げるか下げるかで結論が変わることに気がついた。

[※]今になって?と毒づきたいところです。[兆円]単位の研究費を浪費しましたが、気付いたのはよかったと思います。COPで大騒ぎしている輩も、冷静に地球温暖化を見直してはどうか!?と思います。

同氏は発電に風力を使うのが誤りではなく、風速の変動に対応できるインフラ計画が必要なのだと強調する。

[※]これはソーラーPVも全く同じ環境下(禍)にあります。発電能力(kW)だけで〝再生可能エネルギーで全ての電力を賄える〟という不勉強です。石炭を含む化石燃料や原発が、不出来な再生可能エネルギーを裏で下支えしている事を無視か見て見ぬふりをしています。

気候変動抑制の目標を達成しつつ、長期にわたってエネルギーを確保するには電力源の多様化や、より優れた蓄電技術の開発、気象の長期予測の活用が欠かせない。複数の国を高圧ケーブルでつなぎ、電力を融通し合えるようにしておくことも忘れてはならない。(以上、引用終了)

[※]前者は半分賛成です。ただし蓄電装置もEVの電池と同じ技術範囲ですから、廃棄物処理あるいは再利用技術の開発が並行して必要です。特定できる原発の使用済み燃料よりも質が悪いと思います。

後半は〝あり得ません〟なぜならば欧州の天然ガス・パイプラインを見れば分かります。カントリーリスクの極めて高い近隣の国と〝高圧ケーブルでつなぎ、電力を融通し合う〟なんてあり得ません。自殺行為です。

この投稿の原本は以下の通りです。
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


ロシアのウクライナ侵攻2022/02/24以前に、下記議論が欧州でなされていました。それは、

『再生可能エネばかりを重視したヨーロッパがはまったエネルギー危機』EUROPE’S ENERGY LESSONS 2021/10/14 ブレンダ・シェーファー(民主主義防衛財団エネルギー問題上級顧問) From Foreign Policy Magazine です。以下引用します。

現在のエネルギー需給の逼迫を招いた原因は、〝再生エネルギーへの過剰投資〟と〝エネルギー地政学の軽視〟にあり電力供給に不安があれば、政府機関やインフラも維持できない。エネルギー安保の重要性は明らかで、いわゆる国家安全保障と同等に扱われねばならない。

[※]なーんだ、欧州にも冷静な論者がいるんだ!?と感心しました。そして「現実の複雑さを無視した議論」と続きます。

ヨーロッパのエネルギー問題をめぐる議論は、もっぱら再生可能エネルギー派と化石燃料派の対決という構図で行われてきた。

これは文化戦争であり、後者は風力も太陽光も安定性を欠く(そもそもヨーロッパの大半の地域は日照が少ない)から、そんなものには依存できないと論ずる。逆に前者は、化石燃料は価格が変動しやすいし、ロシア産の天然ガスに依存することのリスクは大きいと指摘する。

市場原理に委ねようとする右派の思想と、そうはさせまいとする左派の思想。そのせめぎ合いこそが今日のエネルギー危機につながった。

[※]まったく仰る通りと思います。日本でも凡そ同じ議論です。そしてここからが本質〝EUの誤算でロシア有利の状況に〟です。これは具体的には、メディアの誉れ高いアンゲラ・メルケル前首相の明らかな失政を意味します。

そのため、この政策はいくつかの点でネガティブな結果を招いた。まず、日々変動するスポット価格を基準にした結果、天然ガスの価格支配力を持つロシア側の優位性が一段と高まった。

ロシアはヨーロッパ向け天然ガスの最大の供給国であり、生産力には十分な余裕がある。だから供給量の調節によって、いくらでも市場価格を操作できる。

問題はそれだけではない。太陽光や風力に頼る場合、発電量は天候に左右される。しかし電力会社は電力の安定供給と停電回避を求められているので、悪天候時のバックアップ用に在来の(つまり天然ガスや石炭を燃やす)火力発電施設も維持しなければならない。

[※]この〝電力会社は電力の安定供給と停電回避を求められているので、悪天候時のバックアップ用に在来の(つまり天然ガスや石炭を燃やす)火力発電施設も維持しなければならない〟を、グレタ・トゥーンベリーちゃんらエコ・テロリストらは不勉強の極みなんです。

言うまでもないが、そうした余剰発電能力の維持には費用がかかる。しかしその費用は、再生可能エネルギー事業者ではなく、電力会社が負担し、最終的には消費者に転嫁される。

[※]〝エコ・テロリストの我が儘〟は、最終的には消費者に不安定な電源と価格上昇として転嫁されるのです。

しかもエネルギー価格の上昇を受けて、イギリスを含む各国政府は新たに価格上限を設けた。これでは市場の自由を放棄したに等しい。(以上、引用終了)



という訳でして、やっとこさで真面な議論ができるようになって来ました。

以前にも述べましたが、エネルギー問題は各国でお家の事情が異なりますので〝独自〟でしか決定できません。

日本は日本固有の [エネルギー安全保障] より、エネルギー危機の歴史や国際協調の程度の〝確たる考え方〟を固めて、悪戯に協調路線を歩む必要はありません。COPでの〝化石賞〟大いに期待しましょう。



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