SSブログ

備前・旭川の憂鬱 (ベルギー・バンシュ:Bincheの春祭り  20-66)  [日記・雑感]


秋たけなわの日本で、なんで今「春祭り」だとお思いでしょう。実は昨夕、何気なくTVを見ていました。するとBS3chで『世界遺産 時を刻む「祭~夢をつなぐ仮面~」』を放映していました。

この「ベルギー・バンシュの春祭り」は、各局の旅番組等で、筆者の知る限り2-3年に1回程度放映されいます。実は1991年晩夏、欧州に出張した時、帰国のフライトの関係でフランクフルトで午前中はフリーとなりました。

前年も訪れたのですが、再度レーマー広場に出向きました。「わーい、わーい!!ドイツっぽい!」となるドイツらしい建物が立ち並んだ歴史ある広場です。

すると一角に奇妙なコスチュームと飾りを着込んだ集団を見つけました。写真を撮りました。

ジルのカーニバルCarnaval de Binche-1.jpg


ジルのカーニバルCarnaval de Binche-2.jpg


ジルのカーニバルCarnaval de Binche-3.jpg


帰国後長期間、このことを忘れていました。ところが、この祭りは、2008年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage of Humanity)に登録されました。

記憶が定かではないのですが、この前後にTVで「ベルギー・バンシュ:Bincheの春祭り」が放映されました。待てよ!確か昔フランクフルトで撮った写真の服装を来ているぞ!?と思い出し、アルバムをめくってみました。

多分ですが、フランクフルトの写真はこの「ベルギー・バンシュ:Bincheの春祭り」のプロモーションか何かであったのだろう、と。「春の祭り」の意味を、AFPから引用します。

〝道化師がいっぱい!伝統のジルのパレード開催、ベルギー・ワロン地方(Wallonia)のバンシュ(Binche)で3月4日、毎年恒例の「バンシュ・カーニバル(Binche Carnival)」が開催され、伝統的な「バンシュのジル(Gilles de Binche、ジルは道化師の意味)」の姿をした人たちが街中をパレードした。〟とあります。

そうです、この写真の〝主〟は、ジル(Gilles de Binche、ジルは道化師の意味)だったのです。長年の〝わだかまり〟が解消しました。この〝主〟は、ジルは奇妙な【仮面】を被ります。

AFP.png


とっても気味が悪いですね。この写真は前述のAFPから借用しました。この祭りは〝地球の歩き方〟風に以下の解説があります。

このカーニバルの主役は奇妙な容姿風貌をした『ジル』。帽子、木靴、そしてメガネとひげという風変わりな表情の仮面…全員まったく同じ格好で、総勢800 人の男たちが16時間ステップを踏み続けるのです。

費用はすべて市民の自腹。家によっては衣装代や祝いのシャンパン代に年収の9割もの金を使います。


仮面の祭が登場した1394年当時、黒死病で欧州の1/3の人が死に、その原因として衣類に付く蚤が感染源という説が流布していた。これにより、バンシュの街を支える産業だった織物業が大打撃を受け、王侯貴族は街を去り、貧しい職人だけが残された。

この民衆達が、去っていった支配階級に成り代わり、街を復活させるということで、この仮面が生まれた、そうです。

仮面の眼鏡は当時珍しく、支配階級の修道士や学者と言ったインテリ層を象徴。手入れされた髭の絵は、金持ちのシンポル。カーニヴァルは、民衆が王になる機会として始まった。

"ジルに複数形はない。何人いてもひとりのジル"とは街の人が語った言葉だったけれど、まさに800人の民衆で王の代理を務める象徴的な意味があるんでしょうね。

以来、ナチスに支配された時代も収容所で看守と交渉してカーニヴァルを開催していたそうでして、この歴史の重みを知ると、さらに仮面が味わい深いものになります。

【新型コロナウイルス禍】を除去するために、中世のペスト禍と同様、この「祭り」を世界中でお願いしたいものです。



nice!(10)  コメント(0) 

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。