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備前・旭川の憂鬱 (「参議院選挙〝定数6増〟自民党の改正案の是非(追加修正)」 18-63) [日記・雑感]


参議院選挙の1票の格差を是正するため、定数を6増やすなどとした自民党の公職選挙法の改正案は2018年7月11日夜、参議院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決され、衆議院に送られました。

その具体的改正ヵ所は以下の通りです。

❖ 参院の現在の定数242を248に6〝増やす〟ものです。

❖ 選挙区間の「1票の格差」を3倍未満に抑えるために、議員1人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区を2増(3年ごとの半数改選定数で1増)します。

❖ 候補の得票順に当選が決まる非拘束名簿式の比例代表については4増(改選定数で2増)し、事前に定めた順位に従い当選が決まる拘束名簿式の「特定枠」を導入します。

自民党は、この「特定枠」を活用して、「合区」された鳥取と島根、徳島と高知の4県のうち、選挙区に候補者を擁立できない県からも確実に議員を出せるようにしたい考えです。これは自民党らしい姑息な制度です。


過去の経緯は、2001年参議院選挙での「定数10減、非拘束名簿式導入」は、前の年の10月に決まりました。2013年参議院選挙の「4増4減」は、前年の11月に決まりました。慣例として制度改定は〝前年〟の行われるようです。


これは定例化、行事化していますが〝国政選挙後に選挙の公平が保たれていない!1票の格差があり選挙は認められない!〟と弁護士さんや市民団体が高等裁判所に訴訟を提起することが続いています。

最高裁も〝違憲状態〟といった意味不明の判決を出していまして、前回の衆院選は辛うじて最大2倍以下になりましたが、参院は最大で3.1倍程度あります。これを次期参議院選挙に向けて最大で3倍以下とし、最高裁に〝違憲状態〟と言われないための措置です。

人口動態は明らかに〝田舎から都市部〟ですから、選挙の前になって慌てて手直ししても〝いたちごっこ〟であることは否めません。


前回の選挙で合区となった、徳島・高知、および鳥取・島根の人口動態は以下の状態です。#は県人口の順位を示しています。最下位が47位です。

県民人口2017.jpg


偶々筆者はこれらの県に近い岡山に居住していますので、親近感を持っています。でもこれらの各県人口は、岡山市人口72万人とほぼ同等かそれ以下です。



〝選挙制度の抜本的改定が必要です〟と簡単にご発言されるかたが多いと思います。日本国民全員がそう思っていますが、それでも実現しません。それは総論賛成・各論反対の典型でして、以下の各論が理由ではないかと筆者は思っています。

❖ 議員さん自身の身分がかかっている。彼らは死活問題です。サルは木から落ちてもサル、議員は落ちたらタダの人、と言われています。

❖ 地方自治「県単位」と「国政」で区割りが異なる「合区」は〝地政的〟にも〝感情的〟にも相容れないし納得できない。この合区は都会の人達の発想です。

❖ 首都圏や大都市部は議員が増えて住民の意見が反映されるが、田舎の議員が減れば益々田舎の意見は国政に反映されない。

❖ 「1票の格差」の憲法的、公職選挙法的合理な数値はどこにあるのか!?最高裁の2倍以下で本当に良いのか!?限りなく〝1〟に近づけるべきか!?人口動態が判っているようで判らないので正しく判断できない。


では日本国の国会議員の〝数〟は世界的に見て、多いのか少ないのか、は以下の表をご覧ください。決して多くありません。むしろ〝少ない〟と思います。


人口1m当たりの議員数 - コピー.jpg



でもこの数10年、一貫して日本は国会議員の定数を削減する方向でした。理由は〝国会議員の不祥事〟不適格な人材と〝財政健全化〟無駄な歳費削減への寄与でした。


筆者の漠然とした対案です。

1. 参議院議員定数は選挙区は「県」毎とし、全国比例区ブロック区は完全な数学的比例配分とする。ただし、得票率「3%以下」の党には議席を配分しない。少数政党分立は国会の権威を著しく毀損します。

2. 比例復活制度は廃止する。議員さんの失業対策は不要です。

3. 合区の地域には各県に「1名」を割り当てる。ただし6年毎とし、3年での改選は「無し」とする。ですから、定員 0.5人相当となります。

4. 他の選挙区は、この「1名」を割り当てられた人口を分母に当該選挙区の議員数を比例配分する。その結果、参議院議員の数は増えるかも知れません。


<追加> 5. そもそも参議院(他国では上院とも呼びます)はアメリカの上院のように「一州二名」のように行政区割りを優先し「一票の格差」とは異なる概念を入れる。これには憲法改正が必要になるかも知れません。


最後に4年前にも投稿〝「総選挙」14-45〝https://ironbridge-uk.blog.so-net.ne.jp/2014-12-07〟しましたが、本当に「1票の格差」を思う方々は、合区した選挙区へ移住されることをお勧めいたします。



<参 考>
【憲法】第十四条 
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

【公職選挙法】(衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力に関する訴訟)第二〇四条 
衆議院議員又は参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては候補者又は候補者届出政党、衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等又は参議院名簿登載者)は、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし、
当該選挙の日から三十日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。



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