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備前・旭川の憂鬱 (コロナ禍で顕在化した「JRローカル赤字線廃線」問題 24-08) [日記・雑感]


コロナ禍は2019年末ごろから始まり、現在も終息することなく継続していると思われます。

このコロナ禍で顕在化した〝現代の日本社会の弱点〟が色々ありました。例えば日本の医療システム、病床数は世界一と言っていましたが、現実には病床が不足し大混乱となりました。

感染防止対策として〝在宅勤務:リモートワーク〟が一般化され〝通勤・出張・観光〟が抑制されました。これに伴い、交通機関の利用者が減少し航空業界、鉄道業界、観光業界の収益を大きく棄損し、その結果「大赤字」となりました。

この「大赤字」が従来から議論されていた「JRローカル赤字線廃止」に火を付けました。

その先兵を切ったのが筆者の居住している岡山県と広島県を跨ぐ「JR芸備線」の存廃の議論です。ほとんどの方はこの「JR芸備線」がどこを走っているのかご存じないと思いますので、JR西日本の公表資料を借用し、場所をご説明します。

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「JR芸備線」は中国山地の真ん中の「新見市:にいみし、赤丸」と「広島市」を結ぶ非電化・単線のローカル線です。中間に「三次市」があります。この三好市は岸田総理夫人の出身地だそうです(どうでもいいお話ですが)。


この問題はJNR日本国有鉄道時代から議論されていますが、経済問題が極端に政治問題化「存続一択」となりました。役所関係も、議員の方々は選挙対策もあり手を付けられない状況でした。

しかしながらJR側の強い要求があったのでしょう、国土交通省は「地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針」https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000330.html を公表、施行は令和5年10月 01日と決まりました。法律の背景は〝地域の関係者の連携・協働(共創)を通じ、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通への「リ・デザイン」(再構築)を進めるため〟と記載されています。

この法律に基づきJR西日本は早速、地域公共交通活性化再生法に基づく再構築協議会の要請について 2023/10/03 https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231003_00_press_saikouchiku.pdf を国交省に要請しています。

その具体的な区間は前述の地図で示したJR芸備線「備中神代‐備後庄原」間68.5㎞です。新聞の見出しとして「第1号・芸備線が試金石 再構築協議会、活用様子見も―JR各社」とあります。

ここの管轄はJR西日本・岡山支社でして、先日岡山支社長殿は、岡山・福山地区に新型車を導入する(前述の地図の〝桃色〟の路線)と発表と同時に、このJR芸備線に対する再構築協議会の要請、つまり「廃線したい」を発表しています。

では岡山支社関係路線の「平均通過人員」を見てみましょう。このデーターはJR西日本公表のPDFより抜粋しました。

平均通過人員2022.png

この下側の〝赤字〟の部分に注目下さい。「備中神代‐備後庄原」間は、現在は日本で最も悪い成績の路線でして、一日に100人以下の通過人員です。他の線区と比較しても極端に低い数値です。

実はあえてこの表に掲載しませんでしたが、中国山地を横断するローカル線があります。それは「姫新線」です。区間は文字通り、姫路‐新見です。この区間もローカル赤字線ですが、それでも平均通過人員は「中国勝山‐新見」間100人台を除き、1,000人台に近い数値です。

JR西日本も、当然とはいえ、上表の平均通過人員の多い路線から順次「新型車両」を投入しています。


ところがローカル線に対して興味深い言説を2つ見つけました。一つは里山資本主義の藻谷浩介さん(59)です。
『芸備線 地域の活力維持に必要』 庄原で日本総研・藻谷さん講演から。 https://www.sanyonews.jp/article/1504977?rct=syuyo 
岡山、広島両県を結ぶJR芸備線の利用低迷区間が存廃に揺れる中、鉄道を生かしたまちづくりについて考える勉強会が19日、沿線の庄原市内で開かれた。日本総合研究所(東京)主席研究員の藻谷浩介さんが講演し、地域の活力維持には芸備線が必要と訴えた。藻谷さんは「鉄道は先人たちが残してきた財産であり、赤字だから廃止にする考えはおかしい」と強調、されたそうです。

筆者は単純に〝無責任な発言だな〟と感じました。もう一つは、『東洋経済オンライン』2022/10/01 https://toyokeizai.net/articles/-/622606 です。

〝JR只見線:2011年の東日本大震災で被災した区間の復旧工事「11年ぶり」復活、地元住民たちの執念、利用者少なくても観光による「経済効果」大きい〟と赤字ローカル線廃線と「真逆」をやっています。只見線の被災区間の2010年の〝輸送密度:平均通過人員は49人〟であったそうです。

そして〝「復旧費用の約90億円」は国、福島県と会地方17市町村、JR東日本で3分の1ずつを負担。また、同区間は福島県が鉄道施設を保有する上下分離方式が取られた〟そうです。さらに〝復旧後に年間約3億円かかる運行経費も福島県と会津17市町村が負担する〟とか。

「上下分離方式」とか「公設民営方式」と呼ばれる方法なんですが、これでは「日本(国有)県営鉄道」でして〝年間約3億円かかる運行経費も福島県と会津17市町村が負担する〟なんて経済原則を著しく逸脱しています。数年後、必ず問題となるでしょう。


「ローカル赤字線」の問題は、その土地の住民の方々にとって死活問題のはずなんですが、現在どうされているのか!?それは各ご家庭に自動車を一人一台お持ちで、ある程度解決していると思われます。最近は鉄道と並行して道路が整備されています。厳しい言い方をお許しいただけるのであれば、住民の方々が自発的に不便なローカル線を放棄したことになります。

JR芸備線に関しましては、JR西日本が『関係自治体への説明資料』2023/05/10 https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/345373.pdf で丁寧に説明をされていますが、住民の方々は納得されないでしょう。

それはこの資料が「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、兎角に人の世は住みにくい」 <夏目漱石の「草枕」>の典型だからです。


筆者は思います。住民の方々が本当に欲しい乗り物は何か?いまある鉄道が無くなるのはプライドが許さない、といった鉄道文化ノスタルジアを含め【本音】で語る必要があります。

「通学」「通院」が最大の課題と考えるのであれば、BRTバス・ラピッド・トランジット:Bus Rapid Transitとか、DMVデュアル・モード・ビークル:Dual Mode Vehicle が考えられますが、前者のBRTの方が有力の様に思います。

気仙沼線BRT、大船渡線BRT、日田彦山線BRT、等先例がありますので、地元の皆さんは検討されると良いと思います。バス運転手さんが不足しているから〝検討の余地なし〟と云わないで頂きたい。

そして間違っても「JR只見線」の轍を踏まないようにお願いしたいものです。



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備前・旭川の憂鬱 (ドイツ人が「無料でも」お茶や水の提供を断る 24-07) [日記・雑感]


「東洋経済オンライン」2024/01/23のDMに興味深い記事が掲載されていましたので、紹介しながら筆者の平素思っていることを綴ります。原文のURLは、https://toyokeizai.net/articles/-/729503 投稿者は、四元伸三(よつもと しんぞう)さんです。

先ずはcaption 『ドイツ人が「無料でも」お茶や水の提供を断るなぜ、サービスを受けるのが当たり前になった日本人』です。


最近TV等のCMで違和感を禁じ得ないのが〝送料は「無料」です〟という文言です。あれだけ【2024年問題】と騒がれているのに〝無神経だなあ!?〟と感じています。CM側は顧客に「サービス」していますよ、と好意的に考えているのでしょう。

さらに言えば、日本を盛り過ぎるYouTubeで、外国人観光客が一般の店舗・コンビニや食事処・居酒屋で〝VIPかと勘違いするぐらいの接待〝いらっしゃいませ/ありがとうございました〟の挨拶を受ける〟とか〝「水」だけでなく「おしぼり」「お通し」まで提供される〟というものです。


この投稿では〝世界を見渡してみると、日本ほど「サービス」の質と量(さらに時間)を担保するためにリソースを注ぎ込んでいる国はめずらしいと気づく。〟と述べています。まさにこのcaption通り、サービスを受けるのが当たり前になった日本人、ということでしょう。

ただ「水」に関してのみ筆者はドイツ人と異なる見解を持っています。確かにヨーロッパでは「水」はビールやジュースと同様「有料」です。それはヨーロッパの水は石灰が多く含まれる硬水で、そのまま飲むとお腹を壊します。ですから軟水処理が必要です。ですから、水は有料になると理解しています。

幸い日本では「名水百選」ではありませが、水資源には恵まれています。もちろん、日本の水道水は高度に処理された水ですから、有料ですが安価と思います。世界でも数少ないtap waterが直接飲料できる国です。ですから、ドイツ人が「無料でも」お茶や水の提供を断る、は少々日本の水事情をご理解されていないのであろうと思います。


「サービス」が脱線して「水」に傾斜しましたので、本論にかえります。

「サービス」という日本語、筆者はなんとなく「サービス」=「タダ:0円」を連想します。

昔々、そうです現在の上皇ご夫妻のご成婚、昭和34年1959年のころ、白黒TVが一般家庭にも普及したと思います。我が家もTVを購入しましたが、その時電気店曰く〝アンテナは「サービス」しときまーす〟という、うろ覚えの会話を覚えています。

また店舗で購入した物品を包装する時〝ギフト用包装をサービスします〟といった会話も聞かれます。同じく、路面店で揚げ物を購入する時〝このコロッケ、1個オマケしておきます〟に〝「サービス」の良い店だね〟といった会話も聞かれます。

これらは何れもcaptionのドイツ人がいうように、「サービス」と云えども無料のはずが無い、とい原理が当てはまります。確かに前述の何れの「サービス」も「タダ:0円」ではできません。本体価格に含まれているか、誰かの財布に転嫁しているのでしょう。


筆者も社会人となり企業で「コスト」を意識する立場になりました。いわゆる原価計算を1回でもやってみると判るのですが、社会や企業で何かをやれば、必ず費用が発生します。広告費・研究開発費と云えども、会計的仕訳は異なりますが、とにかく費用は発生します。

これらの費用は、産油国・資源国のようにお金が湯水のようにある国ではどうするか知りませんが、必ず誰かが負担します。従って前述のドイツ人のように〝お茶も水も不要だからその分を食事代から値引きしてくれ〟となるんです。


最近は「明朗会計」ではありませんが、基本的な仕様でいくら、オプション価格はいくら、となって来ています。筆者は大変良い事と思っています。不要なものは不要ですから、支払う必要はありません。逆に特別の「サービス」、例えば宅配の時間指定にはエキストラ料金を請求しても良いと思います。

黒田前日銀総裁の退任会見でのご発言「ノルム」、コスト構造を明らかにし、日本固有の商習慣「ノルム」を好い方向に改めるtriggerになれば、と思います。

もちろん、筆者のような後期高齢者が、何とか銀座の街のお惣菜屋さんでの〝楽しい会話〟を妨げるものではありません。



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備前・旭川の憂鬱 (保守思想の父 エドマンド・バーク:Edmund Burke 24-06) [日記・雑感]


TVは、ある程度仕方ないのですが、地震報道ばかりでして、ウクライナもパレスティナもその他の国際問題は何処かへ行ってしまいました。でも、メデャアの大好物の政治スキャンダルに、結構の時間を割いていますが、結局メディア殿の意図・意向とは異なる結末となり〝自爆〟するでしょう。

最近、理由は定かではありませんが、ソーシャルメディア [X:旧Twitter] 上で「保守思想の父」エドマンド・バーク関係の投稿を発見しました。

一つは弁護士さんの投稿です。
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もう一つは衆議院議員 小林鷹之さんの投稿です。経済安全保障担当大臣を歴任されています。
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エドマンド・バーク (英: Edmund Burke 1729 – 1797) は、アイルランド王国生まれのイギリスの政治思想家、哲学者、政治家。「保守思想の父」として知られる。1765年から1794年までイギリス庶民院(下院)議員を務めた人物です。


第2次安倍政権時代、『アべガー』がメディアの主流となりました。筆者は「保守主義はケシカラン」という命題に対し、そういえば「保守主義」とは何か?を理解していないと気が付きまして、「保守主義」のバイブルと言われている、エドマンド・バークの『フランス革命の省察』を読んでみました。

他にも半澤孝麿訳・解説『フランス革命の省察【新装版】REFLECTIONS ON THE REVOLUTION IN FRANCE』 みすず書房も出版されています。

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その読書感想文を、当blogにupしています。https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2014-08-03 
『フランス革命の省察』の著者、エドマンド・バークは言います。 「政治の技術とは、理屈ではどうにもならぬものであり、しかも国の存立と繁栄にかかわっている以上、経験はいくらあっても足らない」と述べています。 


保守主義とは何ですか?に辞書的には、以下の様です。
保守または保守主義(英: conservatism)とは、従来からの伝統・習慣・制度・考え方を維持し、社会的もしくは政治的な改革・革命・革新に反対する思想のこと。 過激な傾向を拒否し、穏健な立場を奉ずる人物を保守主義者、勢力を保守勢力、政党を保守政党(英: conservative)と呼ぶ。


アーネスト・バーカーは『フランス革命の省察』に〝これが保守主義である。しかもそれは品位がある。その品位がバークの『省察』を、思想の大海を航海するとき、人間の心を永遠にとらえて離さぬものの一つとして確立したのである。〟と言っています。

さらに〝彼は、抽象的イデオロギーや形而上的思弁に頼らないで、社会的秩序と結びついた個人的自由を擁護し、国家権力は民衆のための信託であるという信念にもとづいて、啓蒙思想の理性信仰を逆転する書、〈革命に反対する革命的書物〉(ノヴァーリス)を著したのである。〟

〝この書は、政治的理性と現実的熟慮を通ずる正義と便宜の調整の方法を明らかに示し、保守主義のバイブルと称される地位を占めるにいたった。〟と。ここの解説は前述の半澤孝麿訳・解説より引用です。

1994年の公職選挙法改正で「政治改革・金権政治からの脱却」と称した感情的・メディア的に改革した日本国の「小選挙区制」や、今の派閥政治・キックバック等、「政治の技術とは、理屈ではどうにもならぬものである」と明言した、エドマンド・バークの言葉を噛みしめて欲しいものです。



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備前・旭川の憂鬱 ([ホキ美術館 名品展Ⅱ] 究極の超写実絵画 24-05) [日記・雑感]


丁度、3年前に同じ「岡山シティミュージアム」でホキ美術館 名品展が開催されています。その時の様子は、拙blog https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2021-02-04 をご参照下さい。

今回も「岡山シティミュージアム」で[ホキ美術館 名品展Ⅱ]究極の超写実絵画が開催されていますので、鑑賞に行きました。期間は2024年2月12日までです。

作品数は62点でして、まじめに鑑賞するとさすがに疲れます。特に人物の細密写実絵画はぐうッと迫って来ますので、身構えてしまいます。

細密写実絵画に対して悪口を言う人は〝写真と何が違うの?〟と。写真は「単眼・単視野」だが、細密写実絵画は人間の「両眼」で見た視差や遠近のある画像となるので立体感が全く異なると説明されていました。

それでは以下、リーフレットからピックアップしてご紹介します。この画像と実際の絵画とは全く異なることをご承知下さい。


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   塩谷 亮「青昏」

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   原 雅幸「冬のアンジェリカ」

この絵は入場券にも使われています。

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   生島 浩「月蔭り」

今回は展示されていませんが、生島 浩さんの〝5:55〟はホキ美術館の中で貸出要求が多い作品だそうです。拙blogを参照ください。

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   森本草介「未来」

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   藤原秀一「砂遊び」

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   野田弘志「保木将夫氏の肖像」

保木将夫さんはホキ美術館の創立者です。野田弘志さんは、2018年、現上皇並びに上皇后の肖像画を制作し、宮内庁に奉納したことで有名です。

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   藤田貴也「Electric Device」

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   五味文彦「坂田ヶ池逍遥」


細密写実絵画は図録や絵画書籍で鑑賞することも可能ですが、やはり「現物」を観賞するに限ります。



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備前・旭川の憂鬱 (『日本、国家ブランド指数で初の世界トップ その希望と課題』日経ビジネス電子版 24-04)  [日記・雑感]


IMFは、2023年USD換算の「名目GDP」で日本はドイツの後塵を拝し4位転落となるようだ、と言っています。

そりゃあそうでしょう、上野千鶴子さんや、そのお友達は以前〝みんなで貧乏になろう!〟と吹聴したのですから当然の結果です。

これだけ大規模震災等「自然災害のオンパレード」、復興費等のハンディーがあるのですが、よくぞ日本民族の冷静さと思いやり、不屈の精神で、なんとかここまで持ち堪えています。

2024/01/02羽田での航空機事故、事故原因は究明中です。しかし、海自の方々のご不幸はありましたが、JAL機乗客乗務員全員の無事脱出が世界から称賛されているようです。


しかしながら、日本国の「ブランド」を棄損する重大な事例も散見されます。

例えば、「ダイハツ」衝突試験の悪質な不正行為、日本の製造業の信頼にかかわる問題でして、一企業の問題では無くなるかも知れません。

次に「富士通」です。イギリスの「郵便局会計システム」不具合による、イギリス史上最大規模の冤罪事件です。これは措置を間違えると、国家間レベルの問題になるかも知れません。


今年2024年になってgloomy & annoyingなお話が多いのですが、日経ビジネス電子版 デイリー朝刊『日本、国家ブランド指数で初の世界トップ その希望と課題』2024/01/18を見まして、少しは前向きになりました。原文のURLは、https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00351/010900119/?n_cid=nbpnb_mled_mre です。

ナンシー・スノー:Nancy Snowさんは、米クレムソン大学卒業、米アメリカン大学で国際関係論の博士号(Ph.D.)を取得。専門は公共外交(パブリック・ディプロマシー)。2016年から2022年まで京都外国語大学特別客員教授。2022年からチャイナ・清華大学シュワルツマン・カレッジ客員教授です。

この記事の3つのポイントは、
1. 2023年、日本のブランド指数が世界総合トップになった。
2. 米国、ドイツ以外の国がトップになるのは初めてである。
3.「この国がグローバルな経済リーダーだと思う」も総合2位です。

ランキングは以下の通りです。

国家ブランド 2023 - 409.jpg

そして筆者が注目した内容の一部、

〝強気な経済見通しと日本に対する積極的な対外投資の動向がしばしばメディアのトップニュースになる米国の投資家、ウォーレン・バフェット氏は言う。「名声を築くには20年かかるのに、台無しになるのはたった5分。それを考えれば、もっと違う行動ができるはずだ」〟

〝米ブルッキングス研究所の研究者ミレヤ・ソリス氏は、国家ブランディングにおいても、日本の静かなリーダーシップは成果を上げている。多くの国は、良い評判を得るために多大な投資をしているが、日本が時間をかけて静かに着実に成長して得てきたようなリターンを得ることはできない。恐らく日本は、これまでと同じように、しかしもう少し国家的な関与をもって評判への投資をし続ける必要があるだろう。〟

〝かつてゆりかごから墓場まで従業員の面倒を見ていた日本の雇用が劇的に変化しているが、クリエーティブ系の産業は、この変化と歩みを合わせていけるだろう。若い人たちは今や、一つの会社に一生、雇用されることを望んでいない。彼らは、個人的に意義が感じられ、かつひらめきを刺激するものに関わることで貢献し、社会に足跡を残すことを望んでいる。〟

〝筆者(Nancy Snow) は、日本が国家ブランドナンバーワンの地位を声高に吹聴するとは思わない。地元のレストラン経営者がミシュラン・ガイドへの掲載を断ることで知られる国、それが日本なのだ。このような特別な場所が尊敬に値するランキングの評価を得た今、日本に憧れる人々だけでなく、日本に住むという特権を持つ人々も一緒になって、物静かで安定感あるリーダーを育むべきである。〟


一部のメディア、アカデミア、知識人、そして野党の一部が主張する「自虐史観」や「贖罪意識」も冷静に聞き、判断しなければ日本人は間違った方向へ行ってしまいます。

それにしても黒田前日銀総裁の退任会見で仰っていた「ノルム」からの脱出は日本人個人の喫緊の課題と思います。ノルムに関しましては、拙blog https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2024-01-06 を参照下さい。



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備前・旭川の憂鬱 (年明けのウォーキング 24-03)  [日記・雑感]


〝年寄りは歩け!あるけ!〟とかかりつけ医が仰います。今日2023/01/11鏡開き・蔵開きですが、昨日とは違い、陽ざしもあり暖かそうなので、ウォーキングに出かけました。

久しぶりに岡山後楽園方向へ、2018年春に整備された旭川(あさひがわ)右岸の「水辺の回遊路、散策路」を鶴見橋から上流に歩きました。鶴見橋を水辺で下流から見ました。

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鶴見橋とは岡山市のHPより抜粋します。

竣工年 昭和5年(1930)
構 造 鉄筋コンクリート造
仕上げ 木目状塗装
コメント 当時岡山市での陸軍特別大演習の際、後楽園に大本営がおかれた時に、急遽建設されたのがこの橋です。
所在地 岡山市北区出石町・後楽園

鶴見橋の真下で橋桁・橋脚を見ましたが、最近の橋と違い、橋桁・橋脚の数が多いので、リズミカルに見えます。

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さらに上流に歩きますと、漁業者からの嫌われ者〝烏合の衆〟に出会いました。

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約1.5km 30-40分のウォーキングでした。

岡山城周辺の「水辺の回遊路」は https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2018-06-04 も参照下さい。



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備前・旭川の憂鬱 (『ノルム』黒田日銀総裁退任記者会見 24-02) [日記・雑感]


『黒田総裁退任記者会見 ―2023年4月7日(金)午後3時半から約60分』は以下のPDFで全文を確認できます。https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230410a.pdf

筆者は何故に、そして今頃この退任会見を注目したか、です。それは『ノルム』です。『ノルム』とは何ぞや?理系の端くれの筆者は、数学のベクトルを思いだします。もちろん経済の『ノルム』は違います。

『ノルム』とは「予想」より強い概念で、社会的な習慣、規範意識や社会通念を意味するようです。 アメリカの経済学者Arthur M. Okun (1928 – 1980) が提唱しました。

アナログ的理解は〝長年の経験に基づき、人々の間には物価や賃金の上昇率について世間相場のような、皆が当たり前のように考える水準が形成され、それが実現していく。 日本はほぼ30年間、物価上昇率がゼロ近傍に抑えられてきた。〟という事になります。

もう少しましな解説は、東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/344140 2020/04/17 を参照ください。



以下、黒田日銀総裁退任記者会見より抜粋します。それは、

〝1998年から2012年までの約 15年の長きにわたるデフレに直面しておりました。こうした状況を踏まえ、日本銀行は 2013年に量的・質的金融緩和を導入しました。〟いわゆる、アベノミックスの一つですね。

〝経済の改善は、労働需給のタイト化をもたらし、女性や高齢者を中心に 400 万人を超える雇用の増加がみられたほか、若年層の雇用環境も改善しました。また、ベアが復活し、雇用者報酬も増加しました。〟

〝政策には常に効果と副作用があり、量的・質的金融緩和も例外ではありません。〟

〝長きにわたるデフレの経験から、賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわゆる『ノルム』が根強く残っていたことが影響し、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現までは至らなかった点は残念であります。ただ、ここにきて、女性や高齢者の労働参加率は相応に高くなり、追加的な労働供給が徐々に難しくなる中で、労働需給の面では、賃金が上がりやすい状況になりつつあります。〟

〝先行きの経済・物価動向を巡って様々な不確実性があるのは事実でありますけれども、賃金・物価が上がらないという『ノルム』は徐々に変化していき、賃金の上昇を伴うかたちで物価安定の目標が持続的・安定的に実現することを期待しております。〟

〝まず第一点につきましては、先ほど来申し上げているように、15 年続きのデフレの中で、いわゆる物価・賃金が上がらないという慣行、考え方、『ノルム』というものが根強くあったということが非常に大きかったというふうに考えておりますが、今やそれも変容しつつあるということで、2%の物価安定目標を安定的・持続的に達成できる時期が近づいているというふうに思っております。〟

〝まず『ノルム』が変化しつつあるというのは、確かにショックとして輸入物価が大きく上がって、価格転嫁というかたちで消費者物価も上がったと。そのもとで労使関係の中で、そういった物価上昇を踏まえた賃金交渉になってきたということが明らかに『ノルム』を変えつつあると。具体的に言えば、長期の予想物価上昇率が上昇してきているというかたちで出ていると思うんですけれども、そもそもそういうふうになった前提として、やはり 10 年間の金融緩和の中で、経済活動が活発化し、労働市場がきわめてタイトになり、これ以上の新規労働力の供給が難しいほどまでタイトになって、コロナの状況のもとでも失業率は 2.5%前後で、15 年続きのデフレの頃の 4~5%の半分ぐらいで維持されてきたわけですね。〟

〝そうしたもとで、ああいう輸入物価ショックがあって、『ノルム』が変容しつつあるということだと思いますので、やはり金融緩和を通じて経済の成長を促進し、賃金の上昇が続くというようなかたちを維持することが一番重要だと思っております。〟

以上のように、いたるところに『ノルム』とういう言葉が出てきます。黒田東彦・前日銀総裁は、長きにわたるデフレによって賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわば『ノルム:社会通念』が残り、その影響で2%の物価安定目標が実現しなかった、と仰りたかったのでしょう。



筆者も同様に、卵は物価の優等生、といった『ノルム』がデフレを継続させたと考えています。たしかに、消費者である国民は、賃金が増えることを望む一方で、物価上昇は望んでいません。

では、なぜ最近、黒田日銀総裁退任の時期になって『ノルム』の溶ける物価上昇状況になったか?です。残念ながら日本国内の活力回復ではなく、

1.新型コロナ禍の終息による経済活動の急激な回復で、世界的にサービスを含む物価が高騰した。日本では輸入物価が高騰した。

2.ロシアのウクライナ侵攻で日本を含む欧米諸国がロシアに経済制裁をした。これにより資源大国のロシアの天然ガスや原油、そしてウクライナ・ロシア産の穀物の価格が高騰した。

3.安部政権時代より政府が労組の親分になり賃上げを強力に誘導した。

4.働き方改革、例えばロジスティックス・運転手さんの2024年問題に代表される賃金上昇期待。

5.日米金利差起因の円安

等が考えられます。

これらにより、企業は下流である消費者物価に、上流の価格高騰分を転嫁せざるを得なかったのではないでしょうか。

まあ日本固有文化である【外圧】です。これでやっと『ノルム』が溶けかけているように思います。

慶応大学の経済学者、井手 英策さんはご自身の著書『経済の時代の終焉』岩波書店2015年で〝「アベノミックス」ほど頑張ってもこの程度の成果しか残せなかった。できる事は全てやったという感じ〟と述べておられます。『ノルム』という概念は、この疑問に対する重要な回答と思われます。



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備前・旭川の憂鬱 (【めでたさも中くらいなりおらが春】 24-01) [日記・雑感]


「今年もよろしくお願いします」と思っていましたら、なんだかな!?状態です。
元旦の日の出を拝み、後期高齢者ではありますが〝今年こそは〟と思っていました。

令和六年日の出 - 409.jpg

フォトはいつもの散歩道、旭川(あさひがわ)堤防道路から、7時30分ごろの東の空です。多くの方が日の出を待っていらっしゃいました。

ところが午後4時10分の大惨事です。この地震のすさましさを気象庁のHPの地震関連情報より引用します。

気象庁HPより - 409.png

実は筆者は完全に誤解していました。TVの第1回目の速報では、地震の最大震度が「5強」でした。数分後に最大震度「7」が出ました。 これは多分1回目の速報を修正したものだ、と思いました。

その後、続々と「5強」が連発されました。

震源地から遠く離れた岡山市でも最大震度2-3を記録しています。座っていた妻は地震を感じたそうです。

翌2日も航空機事故です。

小林一茶の句【めでたさも中くらいなりおらが春】を思い出しました。
意味は「新年を迎えめでたいというけれど、いい加減なものだ。それもまた自分にとってはふさわしいものではないか」だそうです。



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備前・旭川の憂鬱 (カラスも割合を付ければ可愛い!? 23-47) [日記・雑感]


少し前、頭脳明晰なカラスを〝家畜〟的に役に立てないか?と投稿しました。一般的には嫌われ者です。https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2023-11-01

2-3日前、午後4時ごろ、旭川(あさひがわ)の堤防の道をウォーキングしていましたら、河川敷の冬枯れの樹木にカラスが鈴生りになっていました。遠目ですが少々不気味に見えるかも知れません。

DSC_0118 - 409.jpg

カラスにとって不名誉ではあるんですが〝権兵衛が種まきゃカラスがほじくる〟といったじゃれ言葉もあります。意味は、農夫が種をまくと、すぐカラスにほじくられる。 人が努力してすることをカラスが後からぶちこわしていくことの例えだそうです。


この写真はコロナ前ですから、5年以上前と思いますが湘南の海岸、七里ガ浜で撮影したカラスです。
ここはトンビが人間の食べ物をさらって行く有名な海岸ですね。

湘南カラス - 409.JPG


この写真はソーシャルメディアに投稿されていたカラスでして、出所由来は不明です。

貫禄のないカラス 2023 - 256.jpg


カラスも割合を付ければ可愛い!?と思いませんか(笑)。



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備前・旭川の憂鬱 (再度「ウクライナ」支援疲れ 23-46) [日記・雑感]


『テレ東BIZ』2023/12/26 より引用します。

<ウクライナ空軍がロシアの大型強襲揚陸艦を破壊>

ウクライナ空軍は26日、ロシアが一方的に併合した南部クリミア半島のフェオドシヤを空爆し、ロシア軍の大型強襲揚陸艦を破壊したと明らかにしました。ウクライナ空軍によりますと破壊したのはロシア海軍の大型強襲揚陸艦「ノボチェルカスク」で、ウクライナ側は、2022年沈没させた黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦に次ぐ戦果だと主張しています。

ロシア国防省は26日、「ノボチェルカスク」がウクライナ側のミサイル攻撃で損傷したことを認めているほか親ロシア派「クリミア共和国」の首長は攻撃を受け、港で火災が起きたとしています。

また、ウクライナ空軍は26日、ウクライナに飛来したロシアのドローン19機のうち、13機を一晩で撃墜したと明らかにしました。(引用終了)


一方、ロシア側の情報です。渋谷電視台(別名NHK)によりますと、以下のようです。

<ロシア国防相 “ウクライナ東部マリインカ掌握” 大統領に報告>

ショイグ国防相は25日、ウクライナへの軍事侵攻の戦況についてプーチン大統領に報告しました。このなかで、ショイグ国防相は「積極的な攻撃の結果、マリインカの全域を解放した」と述べ、ウクライナ東部ドネツク州のマリインカをロシア軍が掌握したと主張しました。

マリインカは、ロシアが支配する州都ドネツクの南西にあるウクライナ側の拠点の1つで、このところ、ロシア軍が攻勢を強めていました。

報告を受けてプーチン大統領は「まずは祝福したい。これは成功だ。これによって、ドネツクからウクライナ軍を遠ざけ、ロシア軍の作戦範囲がさらに拡大する機会が得られる」と述べ、戦果を誇示しました。

ロシア軍はドネツク州のウクライナ側の別の拠点、アウディーイウカでも戦闘を続けていて、東部の前線で攻勢を強めています。

一方、マリインカを掌握したとするロシア側の主張について、ウクライナのメディアはウクライナ軍の報道官が「正しくない」と述べ否定したと伝えています。(引用終了)


このようにメディア経由の戦争の大本営発表はどこまで信用すればいいのか〝全く〟わかりません。

1週間ほど前、当blogへ『(囁かれている「ウクライナ」支援疲れ』https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2023-12-18 をupload しました。


その後のお話は以下のようです。

最大の支援国であるアメリカの大統領選挙では、この情報はfakeかも知れませんが、民主党のバイデン現大統領は余りにも不人気で立候補の余地はなく、GOP共和党の候補はトランプとなる、というものです。つまり次期大統領はトランプという事です。

その理由の一つに、日本製鉄のUS Steelの2兆円の買収があるというものです。これは既に国家安全保障といったお行儀のよい理論もあるが、アメリカ人のプライドを痛く傷つけたというものです。ましてや民主党支持基盤のラストベルトの白人労働者階級をバイデンは敵に回してしまいました。


で、トランプが大統領になると、彼が以前から言っているように〝オレが大統領になると24時間以内に、ウクライナ戦争を停戦させる〟という発言です。

これは、戦況を現状で凍結する!に等しいものです。すなわち、ウクライナにクリミヤ半島は勿論、東部4州もロシアに割譲せよ、という事です。最近亡くなったヘンリー・キッシンジャーも同様の発言をしたと報道されたことがあります。

これは絶対に困ります。戦後の[ウマ]?の一つ覚え【力による一方的な現状変更】を許すことになります。これを認めると世界の秩序は混乱に次ぐ混乱を来たします。お隣のチャイナを勇気づけます。

ところが本日、日経ビジネスweb で聞き手:森永輔さん、回答:鶴岡路人さんの対談を見まして暗澹たる気分になりました。以下、無料部分一部を引用します。


大いなる錯覚「領土を割譲してもウクライナは停戦できない」2023/12/26

この記事の3つのポイント

1.西側諸国によるウクライナ支援が先細りの方向にある。
2.継戦が難しくなればウクライナは停戦を選ぶかもしれない。
3.そのとき「領土割譲で停戦できると考えるのは錯覚だ」

仮にウクライナの継戦が難しくなり停戦を求める事態になれば、プーチン大統領にとって占領地を広げるチャンスとなる。

欧州現代政治を専門とする鶴岡路人・慶応義塾大学准教授はこう指摘する。それはなぜか。

「ウクライナ側が被占領地をあきらめてロシアに割譲すれば停戦が実現する」との見方があります。この見方は明らかに錯覚です。ロシアは「今の占領地を獲得すれば停戦する」との意志を、これまで一度たりとも公に示したことがありません。

それどころか、西側の支援が先細って、ウクライナが軍事的に弱い状況になれば、ロシアにとって占領地を拡大するチャンスです。停戦へのインセンティブは低下するでしょう。

停戦は、ウクライナとロシアの双方に停戦の意志がないと実現しません。片方だけが望む停戦合意は降伏協定になってしまいます。それを避けたいために、ウクライナは戦闘継続を選択せざるを得ないのです。(引用終了)

なんとも陰鬱な令和5年、2023年の年末です。「検察ファッショ」を喜んでいる場合ではありません。



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