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備前・旭川の憂鬱 (「地方創生・バス路線の突然の廃止届け」18-13) [日記・雑感]

久々の「地方創生」の話題です。

昨日2018/02/08〝突然〟報道されましたが、岡山県といっても南部の人口の集中している地域、すなわち岡山市:人口72万人と倉敷市:人口48万人を中心にバスや岡山市内のトラムを運営している会社「Rバス」が、78路線の内採算の取れない、赤字幅の大きい31路線について「廃止届」を運輸局に提出した、そうです。

確かに地方のバス路線の維持の困難さは、あの7chの人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」でも判るように、皆さんが知る所です。

ところが、その〝言い草〟が興味深いです。〝人口の増える首都圏ならともかく、先細りする地方の路線を維持するには利用者と事業者、どちらの利益も追及できる法改正が必要だ。2002年の道路運送法の改定で「需給調整規制」が撤廃され、新規参入や路線開設が認可制から許可制へ変更された。〟と言うものです。

公共交通機関?ですから「Rバス」とか言わないで、そのまま記載してもいいのですが、知る人は知っていますが、知らない人は全く知りませんので、この text では「Rバス」とします。


では現在の岡山の「バス会社」は何社あるのでしょうか。前にもupしましたが、地方都市としては珍しく10社が(も)運行しています。その中の1社は、最近バス事業に参入した「H運輸」があります。これら岡山・倉敷を中心に方向・方面別に、大凡運行会社別に棲み分けができていますが、一部はダブルトラッキングになっています。


今回の〝突然〟の発表にはどうも裏事情がありそうです。

なにかなあ!?と状況を見ますと、「Rバス」の重要で起業路線でもある岡山から〝裸祭り〟で有名な西大寺路線に、先ほど述べました後発の「H運輸」が殴り込みをかけて〝許可〟された事が起因のようです。


この「Rバス」の業容・ビジネスモデルは東京でいうと「西武」に酷似しています。規模は比較になりませんが、鉄道・バスに、デパート・スーパー・不動産です。岡山のこのビジネス分野では他社を引き離して大きなシェア―を占めています。

デパートは地元には老舗デパート天満屋がありますが、それとは別のデパート〝岡山高島屋〟の大株主です。

「西武」は例えば地方鉄道である近江鉄道もグループですが、この「Rバス」は極めて小規模ではありますが〝ねこの駅長・たま〟で有名になった和歌山電鉄・貴志川線がグループ会社です。



筆者は10年ほど前にU-turnしましたが、岡山市の交通事情は大昔から進化が無い!と実感していました。その辺りは当blogへも数回upしています。例えば〝http://ironbridge-uk.blog.so-net.ne.jp/2015-01-07〟です。


ここ10年間で筆者が問題と思った事を列挙します。

1. 岡山の市電・トラムのJR岡山駅への乗り入れ、現在は岡山駅より130m離れた場所が終点、客はそこから駅まで徒歩となります。この問題は「Rバス」だけの問題では有りませんが、筆者からは「傍観者」の感が拭えません。

5年前に今の大森市長が当選されてから、具体的に動き出しましたが、やっと市の方針として2018年度から事業着手となったようです。


2.前述の如く、岡山には10社のバス会社がありますが、JR岡山駅前のバスターミナルには「H運輸」以外の9社が乗り入れています。従来は会社別にバス停を持っていますので、市民から会社ごとのバス停ではなく、行先別にバス停をまとめてください、と市役所に申し入れを行いました。

ところが「Rバス」は〝行先別にすると客が減る〟と言って長い間この計画が頓挫していました。これも今の大森市長が当選されてから、この「行先別バス停」が実現しました。


3.岡山市は中規模都市ではありますが、中心市街はそれなりの広さを持っています。岡山の地域事情なんかご存じないと思いますが(当たり前です)、中心市街を巡回する路線、JR岡山駅-老舗商店街-岡山県庁-岡山大学病院-岡山市役所-JR岡山駅、のバス路線が有りませんでした。従来は総てが岡山駅と老舗でデパートからの放射状でした。

これに数年前、前述の「H運輸」が〝めぐりん〟と称するお年寄りにも優しい、小型の低床バスを巡回させる路線を作り参入しました。ところがこの〝めぐりん〟はなぜかJR岡山駅前のバスターミナルへは入れてもらえません。現在もその状態です。


4.岡山の一押し観光地「岡山・後楽園」へ、JR岡山駅から直接行ける交通機関がありませんでした。これは当blog へupした〝http://ironbridge-uk.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10〟をご覧頂ければと思いますが、やっと昨年実現しました。

この路線は全く無かった訳ではありません。「Rバス」が運行する路線、JR岡山駅から途中老舗デパートを経由し、後楽園を越えてさらに先へ行くバス路線の中に組み込まれていましたので、路線が判り難いし、時間も距離の割にはかかりました。

ところが、JR西日本が「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を運転するに際し、「Rバス」とは異なる「Uバス」とコラボして、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」と同色のバスをJR岡山駅と岡山・後楽園間でシャトル運行を始めました。すると「Rバス」も同じ路線でシャトルバスの運行を始めました。


5.地方のバス路線は維持が困難ですが、数年前岡山県西部、広島県との県境地域で運行するバス会社が店終いをするに当たり、岡山県から強烈な依頼があったか否かは知りませんが「Rバス」が引き継ぐことになりました。運行数は削減されました。これは理解できます。

さらに広島県側の福山市で運行するバス路線も店終いすることになり、経緯は知りませんが「Rバス」が引き継ぐことになりました。地方路線バスの維持するという考え、これも理解できます。

しかしながら今回の「廃止届」の路線には、この路線は含まれていないようです。経営的にはもっと苦しいのではと思います。公の補助金が入っていれば別ですが...



以上のような状況でして、やはり「Rバス」の傲慢さ、エゴが目につきます。「Rバス」は10年ぐらい前に〝これからの地方交通は「公設民営」でなければ経営は難しい〟と言っていました。一理あるな!とU-turn直後には思っていましたが、実情を見て来た現在、「客・利用者」に向き合わない「わがまま」が目につきます。




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