SSブログ

備前・旭川の憂鬱 (「働き方改革法案」18-37) [日記・雑感]


<働き方改革法案=残業規制、大企業は来春から-70年ぶり抜本改革>が4月6日閣議決定されました。安倍政権は如何なくリベラル色を強めています。

このような法案を提出しないから、野党は国民から見向きもされないのです。スキャンダルでは現政権は倒せません。


詳細をご覧になりたい方は下記を参照ください。厚労省HPよりサイトに入れます。

<働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の概要>
www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-31.pdf
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。


概略のコンパクトにまとめた表は、時事通信の資料が適当と思います。


時事Apr.0518.gif


この〝働き方改革〟ですが、団塊の世代の筆者には語る資格が無いのかも知れません。なぜならば<働き方改革法案>が変えようとしている内容の「真逆」をやって来たからです。筆者の思った事を無責任にも述べたいと思います。


1. 残業時間
製造業とそれ以外の職種では考え方が違うのではないかと思います。偶々筆者は製造業しか経験していませんので、あくまでも製造業の感覚です。

現業部門はシフト制をやっていますが、生産量の増加により残業は発生します。これに対して上限を設けるのは現在でも労働基準法36条に基づく労使協定、いわゆる「36協定」があり原則これに準拠していることになっていますので、これを強化することで、まあ納得です。

労務費・人件費〝のみ〟で考えると、計算すれば直ぐ判りますが、残業代は30%割り増し賃金ですから〝120-130時間〟までの残業であれば増員をする必要はありません。それ以上は増員が必要となります。フリンジの発生費用を考えるともう少し多めの残業時間が増員か否かの分岐点となるでしょう。

今後は設備の改善による効率的な生産がより強調されると思います。それこそ「IoT」や「A i」の適用となると思います。されに増産が必要ですと新工場の建設となりますが、今まで通り、国内立地か否かが問われます。

スタッフ部門は異なるアプローチが必要です。判り易い例では「研究職」や「企画職」です。彼ら・彼女らには残業時間制限はチョットどうかな!?と思います。一律に上限を設ける設け方に工夫が必要でしょう。もう少し頑張れば、と思っても〝時間が来ました、さあ帰宅しましょう!〟は困ります。仕事がのこぎり状・鋸歯状になり、逆に効率・パフォーマンスが悪くなります。


2. 有給休暇の義務化
現在の日本の「祝日」は諸外国に比べて多いと思います。「海の日」や「山の日」等、は明らかに有給休暇が取れない日本人を強制的に休ませるための「休日」だと思います。
それでも「有給休暇」が取れないのは、日本人の内なる恐怖心、すなわち会社を休めば首になるのでは、あるいは別の人にとって替わられるのではと思っていないか!?です。これも矛盾でして、別の人にとって替えられないと当人は〝長期休暇〟は取れません。

筆者の現役時代に「有給休暇」を取る理由に〝慶弔休暇〟を申し出るものがいました。ただし親戚の方がやたらと多いのです。確かこの前、おばさんが亡くなったはず、また別のおじさんが亡くなったのか!?と。これも悪しき日本の企業文化です。

日本企業の海外事務所には現地人を採用しています。彼らは当該国の制度で「2週間のボランティア活動休暇」がありました。筆者が海外出張中に現地の日本人社員より言われました。〝彼は来週からボランティア活動休暇だから、そのつもりでお願いします〟と。

スタッフ部門の残業ですが、一つのプロジェクト、あるいは一仕事の切りがついた時点で「残業休暇」を取る方が余程優れていると思います。

多分日本国でも思い切ってやれば可能ではないかと思います。日本国の企業文化では決断できないのですから、社会主義国的に政府が旗振りして、強権的に日本国内の企業文化を変えていく必要があると思います。企業文化は日本人が造って来たのですから、日本人自身も変わらなければなりません。その後押しを政府がやるのですかね!?筆者は社会主義的で好きではありません。


3. 勤務時間インターバル
これは前述の「残業」と「有給休暇」の〝裏返し〟です。一日は24時間。一月は720時間しかりません。残業が多くなれば勤務と勤務の間の時間が短くなります。当たり前です。


4. 割増賃金率の猶予措置廃止
中小企業も沢山ありまして、この制度に耐えられる企業と、全くダメの二通りあるのでは、と思います。ダメな企業が現在の人手不足と相まって〝倒産〟すると思います。そうでなければ〝裏〟で外国人労働者を安価で雇用するような抜け穴を探すでしょう。これはこれで別の負の側面が顕在化すると思います。


5. 産業医の機能強化
当地、岡山県には倉敷紡績という優良企業があります。昔々創始者は所謂〝女工さん〟の健康維持目的で工場内に診療所を設けていました。日本の企業は昔から「人材」を大切にして来たのですが、会社は「株主のモノ」と定義されてから人材が、単に「材=モノ」になったのではと思います。
またIT産業のような新たな業種では、新たな労働疾患も考えられます。〝機能強化〟は必要でしょう。


6. 同一労働・同一賃金
これはコンセプトとしては当然と思いますが、バブル崩壊後、労務費・人件費の「変動費化」が急速に進展したのが主原因と思います。従来はほとんどが正社員でして、「固定費」でしたから賃金差は顕在化しませんでした。

現在は派遣労働者・契約社員の比率が2017年で37.3%だそうです。(JSA:日本人材派遣協会資料より)

これも日本の雇用形態を根本から変革の必要があります。つまり「退職金制度」です。退職金が〝報奨金〟なのか、それとも〝賃金後払い〟かを問い直す必要があります。終身雇用=正社員と退職金は直結しています。筆者は現時点でアイディアを持ち合わせていません。


7. 高度プロフェッショナル制度・裁量労働制
これは先ほど述べました「スタッフ部門」に相当します。厚労省のデーターが杜撰と野党から攻められましたが、大体「スタッフ部門」の労働時間は測定できません。データーは曖昧でして評価できません。だからこのような制度が必要と思います。

というより、このセクターの労働条件は「自己責任」です。



現役時代の傑作ですが、残業や休日出勤に関して〝家に帰ってもやる事が無い、暇でしょうがない。だから会社で仕事をするのだ!〟と言った人がいました。これでは折角、安倍総理殿が<働き方改革>で旗振りをやっても空しい限りです。


この問題はとかく「欧州」と比較した議論がされます。「良いとこ取り」が多いので要注意です。社会の基盤が異なります。それこそ消費税を25%に上げる議論が飛び出しますし、若年の失業率が20%になります。



nice!(9)  コメント(3)