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備前・旭川の憂鬱 (新聞見出しの欺瞞 19-119) [日記・雑感]


地方紙の記事です。元ネタは共同通信と思われます。

いわゆる見出し・キャプションは『関電 高浜町に43億円寄付』、そして「70年度以降 原発運営円滑化狙いか」、さらに小さく「使途不明」となっています。

今は新聞を読む人口も減りまして、現状のメディアを見ると〝さもありなん〟なのですが、こんなキャプションで世論を誘導しようとする〝意図〟がミエミエです。

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先ず〝43億円寄付〟が目に飛び込んで来ます。一般の人々は額の多さに驚愕・びっくりし、瞬時に〝関電はケシカラン!〟となります。

この〝43億円寄付〟の内容を確認してみます。

〝1970年度以降〟とありますので、年間平均に換算しますと、43億円÷(2018-1970)年≒9,000万円/年、となります。

これでは紙面としては余りにも〝インパクト〟が無いので、累積で驚かしてやろう!という意図が透けて見えます。しかしチョット待ってください。50年近くも一定の金額を寄付することも有るとは思いますが、もう少し詳細を見たいと思います。

すると〝このうち6割超は高浜原発3、4号機の営業運転開始直前の80年代前半に集中〟と書かれています。
〝4号機の営業運転が始まる85年度までに計17億3800万円を提供〟とあります。

すると年間の平均は単純計算で(43億円-17億3800万円)÷(2018-1970-5 or 6年間)年≒6,000万円/年の寄付となります。

関西電力の年間売り上げは、変動がありますが2兆円から3兆円です。関西電力は311東日本大震災以前は原発比率が40%と高いので、どうしても地元との友好関係を保ちたいと思うのは当然です。

企業や国の会計を個人のそれと比較することは適切でない事の方が多いのですが、まあこの寄付金6,000万円/年を年間売り上げ2兆円で割ると、0.003%となります。500万円の年収の人に換算すると、150円となります。

個人換算で150円/年の寄付が社会常識を逸脱しているとは思いません。

問題は大きく2つあります。その一つは、キャプションに〝小さく〟あるように「使途不明」です。むしろ高浜町へ入金された寄付金は〝高浜町民〟の財産です。これが「使途不明」では困るのです。

そして二つ目は、原発運転開始前の〝計17億3800万円〟です。まあ【原発反対派対策】かも知れませんが、これが元助役のブラック・マーケットを生み出すのです。

筆者は【原発反対】も感性的には理解する部分もあります。例えば〝葬儀場が隣に建設される〟〝焼却場が近くに建設される〟とか〝産業廃棄物処理場が来る〟といった世の中の必要悪?(悪とは思いませんが) と言えども、やはり感情的に納得できない、地価が下がる、悪臭が漂う、等々といった嫌悪感です。

ですから考えられる対策を施した原発であっても、まあ「迷惑料」ということで寄付金として地元自治体にお預けするというのは合理的だと思います。

いずれにしても一旦〝高浜町民〟の財産となったお金が「使途不明」では困るのです。

ですからキャプションは『使途不明』がトップです。次に「〝累積で〟43億円寄付」とすべきです。

という事で、何故に一読者がここまで記事を検証、最近の言葉では「fact check」をしなければならないのでしょうか。これでは新聞という媒体は益々衰退して行くでしょう。



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