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備前・旭川の憂鬱 (合成の誤謬 22-44) [日記・雑感]


先週のテレ東「モーサテ」で双日総研の吉崎達彦氏が興味深い解説をされていました。それは、今の日本はまさに「合成の誤謬」の中にある、と指摘されていました。

「合成の誤謬」一応、手元にある本で確認しました。Newsweekペーパーバックス『経済超入門』p30より引用します。

〝合成の誤謬とは、部分的には合理的で正しい行動が、全体としては間違った結果を導き出すことをいう〟

例として〝不況でいつ失業するかわからないので消費を減らして貯蓄する、という行動派は家計から見れば合理的だ。しかしすべての家計が同じことを行うと、消費が減って景気はますます悪化し、かえって失業のリスクを高めてしまう。〟

もう一つ、これは現在の状況と部分的に近いのですが〝各国が報復のため同様の保護政策を取れば、お互いに輸出ができなくなる。結果として世界全体で貿易は縮小し、景気はますます悪くなってしまう。〟

「合成の誤謬」は一旦置いておきます。図はすべてテレ東「モーサテ」より引用します。

先ず衝撃的なデーターが発表されました。

A貿易赤字2兆円超え.jpg

具体的には〝財務省が09/15に発表した8月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆8173億円の赤字だった。エネルギー価格の高騰や円安で輸入額が前年同月比49.9%増の10兆8792億円に膨らみ、輸出額の伸びを上回った。赤字額は東日本大震災の影響が大きかった2014/01の2兆7951億円の赤字を上回り、比較可能な1979年以降で単月の過去最大となった。〟ということです。

要するに、もちろん言い訳はあるでしょうが、日本は貿易では稼げなくなった、というう事です。そして、この状況が続くと(図が不鮮明で見辛いですが)2022年通年では、なんとなんと[15.8兆円]の赤字になるそうです。

B輸出入トレンド - コピー.jpg

そうでなくても財政赤字で国は破綻するに始まり、国防費がGDP比2%必要、少子化対策対策、エッセンシャルワーカーの待遇改善に予算が不足、等々お金がいくらでも必要な時に、国富が海外に垂れ流しになっている、ということになります。

その主な原因は、やはり新型コロナウイルス禍終息後の経済正常化や、そしてこれが決定的ですが、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の上昇です。

そして日本固有の問題ですが薬害被害の〝0リスク〟を追求するあまり、ワクチンの開発能力を失ってしまい、数兆円を払って海外から輸入せざるを得ない国になっています。これも〝合成の誤謬〟の一つでしょう。

C上半期輸入トップ409.jpg
D輸入ランキング409.jpg

今すぐにでもできる対策は、そうです!議論をタブー視してきた〝既存原発の再稼働〟と、日本の技術が優れている〝高効率石炭火力〟の増設・新設です。節電は対策ではありません、国民や企業を苦しめるだけです。

対策は、

E赤字削減施策409.jpg

でして、従来から言われたことでした。

聞く耳を持っているようで、結局持っておられない、岸田総理でも〝原発再稼働〟や〝次世代原発の開発〟を意識されています。

そもそもSDGsやグリーンニューディール・脱炭素なんて利権の塊みたいなものです。SDGsで重要なポイントは金融です。この現代の流れに沿わない投資に融資しないと言っています。これは真に稼げる国産技術やエネルギー自給を破壊するものでして、一昔前(二昔か?)の言葉では〝国賊〟ではないかと疑います。

SDGsを金科玉条のように考えているのは日本だけだと思います。欧州やアメリアは常に国益に沿って考えますので、ある日突然、都合よく政策を変更します。取り残されるのは日本国となります。


福島県在住のフリーランスライターの林 智裕氏、〝風評加害者〟を造語されましたが、「リベラル」を僭称する左翼勢力とそのシンパこそが、東電原発事故における「風評加害者」の主勢力でした、と述べられています。彼らこそが〝原発再稼働反対〟の首謀者でして、メディアはこれを担いでビジネスとしています。きれいな言葉で言えば〝0リスクの追求〟です。

付け加えますと「日本学術会議」も立派にこの「風評加害者」の主役です。一刻も早く解体されることを希望します。

拙blog https://ironbridge-uk.blog.ss-blog.jp/2017-05-16 で、九州電力の再稼働実績より[100万kW]の原発1基を再稼働すれは〝271億円〟収益改善となり、日本国全体では凡そ1兆円の収益改善になると試算しました。今はLNGや石炭の価格も上昇していますので、さらに大きな収益が改善できるはずです。

細野豪志@hosono_54 2021/09/14 は、Twitterで、

〝経済成長がないと(国民に果実を)分配はできない。自国の安全保障の確保なしに世界平和はない。順番を間違えると大変なことになります。〟

とおっしゃっています。筆者は完全にこの価値観を共有します。


ここからは一般論になります。失われた20年か30年か知りませんが、いつの間にか日本国は〝リスクを取らず、学ぼうとしない国〟になってしまいました。個々のご家庭や企業・民間セクターが未来を悲観し、消費や投資、研究開発をしなければこのような停滞した貧しい国になります。まさに「合成の誤謬」です。


軍事技術は悪といった20世紀の発想から一刻も早く抜け出し、アメリカの押し付けた日米構造協議のような日本潰しからも脱却し、半導体の二の前にならないように、そして〝あれは嫌だ、これはダメ〟といった贅沢は排し、可能性のある事は何でもやってみる、といった風土を再び呼び起こさなければなりません。


と、ここまでは筆者の主張を述べましたが、ふと気が付くと、小幡 績氏の投稿が目に留まりました。アリャリャです。ご参考にURLを貼っておきます。

『ついに「日本が独り勝ちする時代」がやってきた、なぜ円安が進んでいるのにそこまで言えるのか』
https://toyokeizai.net/articles/-/619077 



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