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備前・旭川の憂鬱 (「『平家物語』〝沙羅双樹の花〟のお粗末」 18-56) [日記・雑感]


〝祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり〝沙羅双樹の花〟の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。〟

<注 釈> 新 日本古典文学大系『平家物語』岩波書店 より
祇園精舎とは古代インドの須達長者という富豪が、仏陀(釈迦)のために建立した寺院であり、その寺の鐘の音はすべてのものが移りゆき滅んでいくという諸行無常の響きを持っている。

仏陀が入滅する時に生えていた〝沙羅双樹の花〟の色も、栄えた者はいずれ必ず滅びゆくという無常を示している。

今、驕っている者もその隆盛の時期は長くない、ただ春の夜の束の間の夢のようなものだ。強力に見える人間も最後には滅びてしまうのだ、ただ風の前で吹き飛ばされていく塵のようなものに過ぎない。



邪心が多い(多すぎる?) 筆者でも時々「諸行無常」を真面に感じる齢となりました。高校の「古文」で習った『平家物語』、この中で〝沙羅双樹の花〟これは一体全体どんな「花」なのかと漠然と思っていました。図書館で調べるとか、ググれば直ぐにでも見つかると思いますが、理由もなく時間だけが過ぎました。


ところが倉敷の「藤戸寺」の境内に〝沙羅双樹の花〟が咲いているとの情報がありました。

この「藤戸寺」、源平合戦の「藤戸の戦い」の場所に建立されているお寺です。まさに『平家物語』のシーン、その中にありまして、余りにも歴史の環境がそろいすぎたお寺でして〝沙羅双樹の花〟この花を観賞に出かけました。

瀬戸大橋線茶屋町駅からですと車で7-8分でしょうか。岡山市内からは40分程度です。


藤戸寺の正面です。

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そして〝沙羅双樹の花〟です。

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〝日本では「夏椿」を「沙羅双樹」とし、椿に似た白く美しい花が、6-7月頃に咲く〟と藤戸寺の説明板にあります。

この冒頭の〝日本では「夏椿」を「沙羅双樹」とし〟の〝とし〟が引っ掛かりました。

では本当のお釈迦様の〝沙羅双樹〟はどんな花なんだ!?と。



帰宅後、ググってみました。〝沙羅双樹〟の実際は以下のようです。

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沙羅双樹とは、釈迦の病床に、四方に二本ずつ相対して生えていたという木のことです。沙羅双樹は、インド原産の花で日本の国内では温室などで栽培されますが、生育は簡単ではないようです。

そのため寺院では、ツバキ科のナツツバキを植えることが多くなっています。

こうした寺院のナツツバキを沙羅双樹と呼ぶこともありますが、実際には違う植物です。『平家物語』の冒頭の句は、ナツツバキのことを詠んだものだといわれています。

〝沙羅の樹〟は東インドでは、高さ30メートル以上にもなる大きな木です。

3月中旬には白い花が咲き、香りも強いといいます。木材としてはラワン材として知られていて、耐久性に優れているため高級素材になっているといいます。
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「季節の花300」に新宿御苑にある本物の〝沙羅の樹〟がup されています。撮影場所::新宿区新宿御苑、とありますので、これが本物であろうと思います。

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お粗末の一言です。



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