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備前・旭川の憂鬱 (「欧州での徴兵制の復活の兆し」 18-58) [日記・雑感]


日本の識者・学者・ジャーナリストといった方々の中でサヨク的な方々は、「北欧を見習え!」と声高に叫び北欧を礼賛することが多いように感じます。

ところが最近北欧の国々から〝徴兵制再開〟の報道がありました。へーーーと思いながら事態を注視してきました。


2016年9月30日 AFPによりますと、スウェーデン政府は28日、徴兵制を2018年から復活させると発表しました。ヴァーストラム外相は、個人的な考え方として「よりモダンで男女平等な形で徴兵制を再導入すべき」と。目的は災害救助や難民支援強化という。注目すべきは、社民党で女性の大臣の発言であることです。

〝本音〟はウクライナと同様[ロシアの脅威]です。ロシアへの脅威に対抗するため18歳の男女4000人を徴集。2018年1月から新たに女性も対象にした徴兵制が復活することになりました。2015年2月には、国防予算を今後5年間で720mUSD増額することを決定しました。しかし国防軍の人員は不足しているようです。


次はフィンランド。フィンランドの国民は「女性にも義務にするべき」、「フランスにはNATOがあるけど我々は自分たちだけで自衛しないと」、「我々は小さな国、隣に大国(昔から悩まされてきたロシア)がある」。専門家は〝軍にとって副次的なものに過ぎないが、いざとなれば国中を動員できる。〟

フィンランドは徴兵制があるにもかかわらず「幸福度」がなぜか1位なのです。「徴兵制があること」は幸福度を引き下げる決定的な要因にはならないということです。

ロシアと国境を接するエストニアでは、8カ月もしくは11カ月の徴兵制を維持しています。

2008年に廃止したリトアニアでも2015年に徴兵制を再開させた。対象は19歳から26歳の男子で、軍務は9カ月だそうです。



2013年1月20日、オーストリアでは徴兵制の賛否を問う国民投票が行われ、賛成が有効票の59.8%に上り、オーストリア・ハンガリー二重帝国時代に起源をもつ徴兵制の維持が決まったそうです。反対は40.2%。投票率は49.0%でした。

永世中立を掲げるスイスで2013年6月22日、男性への徴兵制を廃止すべきかどうかを問う国民投票が実施されましたが、〝反対多数で、徴兵制廃止は否決〟されました。武装中立と国民皆兵制(徴兵制)を国防の基本に据えているスイスでは、自宅に核シェルターがほぼ100%完備をされています。



なんだか日本国とは「別世界」ですね。日本では徴兵制の復活は〝時代がった軍国主義が復活し、平和を脅かす〟と考えられています。



そこで「徴兵制」とは何ぞや!?と歴史から見てみましょう。

近代化が欧米に較べて遅れた日本では〝徴兵制〟が「富国強兵」、「軍国主義」の道具として使われた歴史があります。ですから、日本では〝徴兵制〟が〝平和主義〟と対立すると戦後は捉えられてきました。

しかし欧米では〝徴兵制〟は歴史的に〝民主主義〟を支える道具であり体制でした。彼らは〝徴兵制〟が平和主義に逆行するものである、という考え方を持っていません。


近代的徴兵制度はフランス革命以降〝国家の主権者は国民一人一人だから、国家を防衛する義務は国民一人一人である〟という考え方です。1798年、総ての国民は兵士である、祖国防衛の義務がある、と法律で決めました。


ところが1989年、ベルリンの壁が崩壊し、1991年にはソヴィエト連邦とうい共産主義国家が崩壊しました。これで「冷戦の脅威」がなくなったと考えました。

徴兵制国1993.png


NATOに加盟している28か国を例にとると、1990年代から2000年代にかけて「冷戦」の終結に伴い次々と徴兵制を廃止し、2010年12月時点でNATO加盟国において徴兵制を採用している国はエストニア、トルコ、ギリシャ、デンマーク、ノルウェーの5か国にまで減少しています。


ところが、2013年に徴兵制を廃止したウクライナでは、翌年2014年に発生したロシアのクリミア侵攻の後に徴兵制が復活しました。欧米はロシアへの経済的制裁を発表しました。この辺りから欧州のロシア脅威論が復活し徴兵制復活の流れが出てきました。

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この頃、西欧諸国ではイスラム過激主義のテロが頻発しました。フランスでは今日までに230人以上がテロの犠牲となっています。また2017年、トランプ大統領の出現は〝America First〟でして内向きです。西欧諸国は、もはやNATOは我々を守ってくれないのでは、と懐疑的になっています。

ロシアの脅威は日本ではあまり報じられませんが(報道しない自由で)、

❖ 2008年、ジョージア侵攻、お相撲さんの「栃ノ心」の出身国です。
❖ 2014年、クリミア半島併合
❖ 黒海・バルト海でNATO軍への威嚇行動
❖ 英仏海峡でロシア軍機が編隊飛行

フランスやドイツでも徴兵制の復活が議論されています。フランスは「テロの脅威に備える」、および「国民の団結を強める」が理由です。欧州では平均して60%、スウェーデンでは70%が徴兵制賛成です。


もっとも現在の軍隊はHi-tech化していますので、1年や2年の入隊では戦力になりません。むしろ足纏でしょう。イラク戦争の時も問題となりましたが、民間企業による傭兵、つまり軍隊の外注化も進んでいるようです。日本にいるとこんなお話しは〝蚊帳の外〟です。

徴兵制国2018.JPG



最近は行き過ぎたEU:欧州連合による無国籍化やグローバル化の反動により、Identity Crisis:自己喪失、「自分は何なのか」「自分にはこの社会で生きていく能力があるのか」という疑問にぶつかり、心理的な危機状況に陥る人が見受けられるようです。

自分の国を取り戻したいと思う人が増えつつあるのだそうです。これも徴兵制を容認する遠因となっています。


それにしても日本国の国会は見るも無残ですね。国境が毎日侵略されそうになっていても知らん顔です。

※写真は渋谷電視台(別名NHK)の〝キャッチ!世界のトップニュース〟から、少し修正しています。



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