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備前・旭川の憂鬱 (AIIB:アジアインフラ投資銀行 | ADB:アジア開発銀行 19-50) [日記・雑感]


AIIB(アジアインフラ投資銀行)に関してオールドメディアが語らない興味深いお話を見つけました。先ずは「AIIB」と「ADB」の概要を見ましょう。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は Asian Infrastructure Investment Bank でして、その表向きの目的はチャイナが主導するアジア太平洋地域のインフラ整備を支援することです。

世界第2位の経済大国になったチャイナが、アジア開発銀行(ADB)など既存の国際機関で発言力の向上が進まないことへの不満やチャイナ企業の海外進出の思惑などから、独自の構想で世界を動かし、2015年12月に発足させました。設立年は2014年10月24日、本部は〝北京市〟メンバーは97カ国、行長(総裁) 金立群 です。

2019年4月時点で97カ国・地域が加盟しているようです。一方で日本、アメリカなどは2017年の現時点で参加を見送っています。 創設時の資本金は1000億ドルです。


一方、既存の実績のある国際機関は ADB(アジア開発銀行)はAsian Development Bankでして、アジア・太平洋における経済成長及び経済協力を助長し、開発途上加盟国の経済発展に貢献することを目的に設立された国際開発金融機関です。本部は〝フィリピン・マニラ〟メンバーは48カ国、現在の第9代総裁は中尾武彦氏です。

第1回アジア経済協力閣僚会議において設立が決議され、1966年に正式に発足し、また日本は設立準備段階より参画する原加盟国で、アメリカと並んで最大の出資国となっています。歴代総裁は全て日本人でして、前総裁は、現日銀総裁である黒田東彦氏です。


これだけの〝比較〟でも政治・外交、そして権力争いが明々白々ですね。日米欧の価値観とチャイナの価値観がガチンコで戦っている様子が見えます。

チャイナは習近平主席が〝中国の夢〟とか〝一帯一路〟と言って、既存の日米欧の国際秩序に対抗して〝チャイナの秩序〟を強引に推し進めています。

しかしながら彼らの〝夢〟幻想かもしれませんが「一理」あります。何事も100%とか〝絶対〟ということはありませんので...それは、この西暦1年から現在までの2000年間の世界の〝GDP〟をご覧ください。


hisrory of world GDP - up.gif


19世紀にそれまでは世界の大国であった〝インド〟および〝チャイナ〟が欧州列強の侵略に遭い「植民地」化されたことで、みじめな国に落ちぶれてしまいました。チャイナに限ってみますと、アヘン戦争と文化大革命で徹底的に国力を落としています。

ですから習近平主席は〝チャイナの夢〟というコンセプトで19世紀前半の国力に返したいのであろう、とまあ理解はできます。しかしながら、現実のAIIB(アジアインフラ投資銀行)はどうなっているのでしょうか?

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」令和元年(2019) 5月11日通巻第6073号をほぼそのままコピペします。

(2015年12月から)3年も経ってからAIIB(アジアインフラ投資銀行)、ようやく起債した。このタイミングで新聞の国際欄の片隅に小さな記事がでたのをご存じだろうか?

AIIBが最初の起債に踏み切った(5月9日、ロンドン) のである。あの鳴り物入りの大宣伝、西側はドミノのように参加を表明し、いずれADB(アジア開発銀行)の影が薄まり、やがてIMF・世銀の存在を脅かすとまで言われた。

日本でも「バスに乗り遅れるな」と素っ頓狂なことを主張している「論客」が随分といた。

しかし、その後のAIIBの経過は無惨だった。資本金1,000億ドルを集めると豪語し、実際に参加は84ヶ国 (97カ国・地域が正解のようです) に上ったものの、日米は明確に参加を見送った。舞台裏でチャイナは日米の参加を懇請してきた。

シティの衰退を怖れ、ロンドンを人民元取引の場にも提供したイギリスが真っ先に名乗りをあげたが、そのムードに押され、独仏伊西も加わり、カナダも揺れたほどだった。

ところが払い込まれた資本金はわずか80億ドル。実際は参加表明の国々が資本金参加をしておらず、スタート時点で決めた融資は2件程度、残りは世銀との共同融資が10件、ADBとの「共同融資」が4件、合計で42億ドルだった。

ちなみに同時期のADB実績は366億ドルだから、AIIBはADBの9分の1,それでも世界の一流銀行だと実績の貧弱さをよこに置いて、風呂敷を吹聴してきた。

客観的に観ても怪しいが、発足から3年して、ようやくAIIBは起債に踏み切った。5年もので、利率2.25%。すでにドル市場でチャイナ企業の社債には「チャイナ・プレミアム」が上乗せされている。


筆者はこれらの状況を自分自身で直接検証することはできません。しかしチャイナの価値観・共産党一党独裁より、幻想かも知れませんが、面倒でまどろっこしい現在の欧米型民主主義、自由と民主主義、法治主義の方を選択します。



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