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備前・旭川の憂鬱 ( 先端技術開発の軍事利用の是非 19-24) [日記・雑感]


「WIRED」というメディアは、アメリカで1993年に創刊された雑誌です。 MagazineとNews(net) を持っています。ジャンルはビジネス、インターネット、ジャーナリズム、カルチャー等です。本国以外では、イギリス、イタリア、ドイツ、日本の4カ国でそれぞれ発行・発売されています。

News では、気になる人物インタビューや先端科学の最前線や、生活、社会、やカルチャーまでを包括した私達自身の「未来がどうなるのか」等について毎日発信しています。

その「WIRED」の2019/02/27 WED News版 https://wired.jp/2019/02/27/microsoft-ceo-defends-army-contract/ に、とっても興味深い言説が投稿されていました。それは〝先端技術開発の軍事利用の是非〟です。


これは日本のお話しではなく〝アメリカである〟というのが興味深い所なのです。日本ですと戦後70年間ズーット平和憲法と〝絶対平和主義 = 非武装中立〟を貫いて来まして〝軍事〟とか〝兵器〟というだけで〝ケガワラシイ〟でした。あの戦争を続けている『軍・産・学』が絡み合っているアメリカでのお話しですから、より興味深いのです。


この記事を要約します。先ずは〝Microsoft〟です。筆者も皆さんも多分毎日Windowsに世話になっていますね(苦笑)。

Microsoft〝従業員たちは、雇用主が米政府、特に軍と協力することにますます不安を覚えている。〟らしいのです。さらに「WIRED」を引用します。

〝「Microsoft Workers 4 Good」が出した公開書簡には、200人あまりの従業員が署名している。これは、マイクロソフトがARシステム「HoloLens(ホロレンズ)」のプロトタイプを米軍用に開発するという、昨年11月に初めて報道された4億7,900万ドル(約531億円)の契約の破棄を求めたものだ。〟

ご承知でしょうが、「AR」とはAugmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ:拡張現実、という意味です。

〝書簡によると、契約書には「兵士が現在および将来の敵を制圧するために不可欠な殺傷力、可動力、状況認識力を高めるために、戦闘任務、演習、訓練を行うことができる単一プラットフォームを迅速に開発、テスト、製造すること」が、目的として記されているという。〟

それに対して〝マイクロソフトは、それでも「ARの軍事利用」をためらわない。マイクロソフトCEOのサティア・ナデラが、拡張現実(AR)を含む同社の技術を米軍に積極的に提供していくと表明した。〟そうです。

他にもマイクロソフトの従業員たちは昨年、マイクロソフトが移民税関捜査局(ICE)の仕事を請け負っていることに抗議する公開書簡を出しています。


次にGAFAの中の〝Google〟です。従業員の抗議が最も大きな影響を与えたようです。

〝グーグルは昨年、ドローンで撮影した映像の解析に人工知能(AI)「Project Maven(プロジェクト・メイヴン」を利用するという国防総省との契約を更新しないと決めた。従業員4,000人が契約に抗議する請願書に署名したという事実を受けての決定だった。〟と。

そして、〝これに合わせて将来のAI利用に関するガイドラインを公表した。〟そうです。


〝Amazon〟は以下のようです。

〝アマゾンCEOのジェフ・ベゾスは、『WIRED』US版の創刊25周年記念イヴェント「WIRED25」で、「もし大手テック企業が国防総省の仕事を受けないとなると、米国は大変な事態に陥るだろう」と発言。政府関連の事業への積極的な関与を表明している。〟とか。



以上ですが、なんだか日本国内を彷彿とさせます。筆者は次のように考えます。昔々COCOMという規制がありました。

対共産圏輸出統制委員会:Coordinating Committee for Multilateral Export Controls; COCOM(ココム))は、冷戦期に資本主義諸国を中心に構成された、共産主義諸国への軍事技術・戦略物資の輸出規制(或いは禁輸)のためのものでした。輸出禁止対象リストがあり、輸出する時は確か通産局でexport license を取る必要がありました。

冷戦が終結しソ連が崩壊するとCOCOMの意義が薄れたため、1994/03に解散しました。ところが1994/12に発売となったSONYの初代のPlayStationには、32bitのCPUが搭載されていました。勿論 PlayStation は民生品です。

しかしこの PlayStation が北朝鮮に大量に輸出されているようだ、との話があり、調べてみると北朝鮮は PlayStation が欲しいのではなく、搭載されている32bit のCPUが欲しかったのだと判明しました。勿論、軍事転用です。

一方、Internet です。これはご承知でしょうが、元々アメリカ国防総省のメインコンピュータ同士の相互接続用に開発され、軍隊の中での指示・命令用に利用された技術です。それを民間でも使用できるように開放されたので、現在のようにInternet がなければ世の中が成り立たないまでに民間で利用されるようになりました。


この例で判るように〝民生と軍用〟の区別する事は今の世の中では意味がありません。


もう一つの観点です。今日現在、世界最先端の技術だからと自他ともに自負していても、多分GAFAのスタッフはそう思っているのでしょうが、〝他者の存在〟がスッポリと抜け落ちています。GAFA以外の人達が立ちどころにキャッチアップしてきます。1-2年で陳腐化技術になる事もあります。

ですから、「正義感」で〝俺の開発した先端技術を戦争に使う事はケシカラン!〟と思っても、あっという間に同じ技術、あるいは凌駕する技術が開発され、軍事にも利用され、先端技術も陳腐化して行きます。


左派リベラルの方々から筆者の考え方に対して、後ろ指を指されるでしょうが、それが現実です。



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