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備前・旭川の憂鬱 (最近のロシア農業事情 20-50) [日記・雑感]


ロシアTVのニュースを BS1ch、2020/08/07の「ワールドニュース」より、文字起しをしました。
おそらく筆者がロシアを扱うのはこれが最初です。文字起しした理由は、ロシアの主張をそのまま信用したからではありません。むしろ〝準独裁国家〟の言説は兎に角注意が必要です。話半分と言いますか、言葉を選んで吟味が必要です。

文字起しは以下の通りです。

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ソビエト連邦や市場経済でも成し遂げられなかったことが、西側の対ロシア経済制裁によって成し遂げられました。

6年前(筆者注:ロシアのクリミア併合)、経済制裁に対しロシアは乳製品をはじめ、農産物の輸入を禁止しました。結果、ロシアの国内農業は飛躍的に成長しました。農業は武器の売却よりも多くの利益を、国にもたらしました。農業関連企業の利益は石油会社の利益よりも大きくなっています。

ここ数年は食料品の輸入禁止により、食品市場は変化しました。2013年、ロシア市場は輸入の食品に頼っていました。現在の市場はほとんどロシア産の製品で占められています。これは投資、新しい技術、新たな雇用を意味しています。

農業相(名前が聞き取れず)、農業はロシア経済の原動力になっています。農業は採算性が低く危険だというイメージを大きく変えました。今や最新のハイテック産業で利益が出るビジネスと理解されています。

店の棚には輸入品ではなく、国産の質の高い製品が並んでいます。

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筆者注:ロシア語が全く理解できませんので翻訳できません。円グラフの中心の〝絵〟をご覧ください。


地元の農業企業は年間10万トンのフライドポテト市場を獲得しています。品質に対する企業側の要求は大変厳しいですが、企業は品質に満足しています。

6年前、ロシアはほぼ430億ドルの農産品を輸入していましたが、現在は300億ドルです。国は農業に2倍以上投資を行っています。投資は今年もまた正しかったことを証明しました。

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筆者注:ロシア語が全く理解できませんので翻訳できません。バーグラフの数値でご理解ください。


新型コロナウイルスにより、人と物の国境が閉ざされました。しかし国内農業の成長により、ロシアは市場が閉鎖されたことを感じることはありませんでした。

ここ数年でロシアは鶏肉、豚肉の生産でトップ5に入りました。今年は豚肉生産で世界第4位になるかも知れません。
15年前にはロシアは年間2億トンから3億トンほどの豚肉等を輸入し、30-35%輸入に依存していました。長期の低利の国のクレジットにより、ロシアの農村地域は変貌しました。

農業には、現在国民の四分の一の人が従事しています。新しい農業コンビナートが設立されています。採用したのは都市部の人達がコンビナートに通って来るアルゼンチン方式ではなく、ロシアではその土地に住んでいる人達が農業企業体で働いています。

EU、カナダ、アメリカ等からの輸入禁止は、かつては対ロシア制裁の対抗措置でした。輸入禁止措置が撤廃された後、今度は西側諸国が言い寄って来ました。しかし、西側の農業製品は店の棚や冷蔵庫にはなく、そこにはロシア製品が占めています。
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〝農業は武器の売却よりも多くの利益を国にもたらしました〟は嗤ってしまいます。さすが軍事大国のロシアだと思いました。利益云々は、現在、ロシアの重要輸出品である「油」の価格が40ドルと低迷していますので、相対的に農業の存在が際立っているのだと思います。

ただ筆者が文字起しまでした理由は、日本の農業の参考にならないかと思ったからです。昨今の国際情勢を見ますと、あらためて〝食料安全保障〟を考えざるを得ません。先日、日本の食料自給率は、世界標準ではない日本独自の指標である〝カロリーベース〟で確か38%と公表されています。

工業製品のサプライチェーンの再構築と同じく、農業の自給率をせめて「三分の二」程度には上げなければなりません。それには今までの農業政策である「個人事業主」守るやり方では限界が来ています。これは10年以上前から言われていますが、今こそ抜本的な改革が必要です。TV等で若年層が「農業女子」とかで取り上げられますが、こんな話題程度ではとても職業自給率の向上には繋がりません。

高級品を香港や東南アジアに輸出するビジネスモデルも、新型コロナウイルス禍以降の世界情勢には適応できないのではと心配します。

自民党の票田である、JAを解体し、さらに超高齢化した個人経営の農業者やその田畑を、戦後の農地改革以上に大改革し「企業化」しなければと、ド素人は考えます。

小西美術工藝社のデービッド・アトキンソンさんのように、日本の中小企業は多すぎる、すなわち中小企業では近代化、IT化投資が人材を含めできないので益々持続性できなくなる、に通じると思います。金銭的補償、あるいは特別年金を、既存農業者に支払っても「大改革」が必要と思います。



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