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備前・旭川の憂鬱 (コロナ禍の夏休み読書感想文 20-51) [日記・雑感]


スーパーの買い物の合間に、店内の本屋に足を運びました。何となく目に留まったのが、谷本真由美著「世界のニュースを日本人は何も知らない」ワニブックスPLUS新書、でした。

何だか売る事を優先した怪しい過激な表題でしたので、一旦通過したのですが、他の本を一通り見た後、再度この本の平積みに立ち寄りました。結局理由なく購入してしまいました。

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2002年まで、大凡20世紀末の10数年間は年間で最大80日間、海外出張の日々でした。〝残念ながら〟筆者は海外の駐在や居住は有りません。それでも、nativesとビジネス・ランチやディナー、休日の交流を通じて〝浅く狭い範囲〟ではありますが、直接現地の事情を垣間見ることができました。

この経験が筆者の「critical thinking」を呼び起こしました。日本の言論・アカデミア・ジャーナリズムが如何に〝バイアス〟がかかっているか!?を知る事になりました。


さて、この「世界のニュースを日本人は何も知らない」の内容をご紹介します。著作権の侵害にならない程度に...引用します。

❖ 序章 日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか
<日本の「トップニュース」に外国人は驚いている>
国際ニュースはマイナーな扱いで、公共放送のNHKやクオリティーペーパーと呼ばれる大手一流紙でさえ、次のようなトピックがトップニュースとして掲載される有様です。
・老人の車が暴走
・あおり運転事故続発
・崎陽軒のシウマイが売り切れ
・ヒグマに襲われた
・オリンピック会場に下水垂れ流し

では他の先進国ではどうでしょうか。アメリカ中心ではありますが
・オピオイド危機でジョンソン&ジョンソンに判決
・アマゾンの火災でブラジルが貿易交渉でEUを脅す
・クルド人戦闘員、トルコ国境から撤退
・レバノン大統領がイスラエルのドローン攻撃は宣戦布告と述べる
・香港デモは天安門を思い起こさせる
・英中銀総裁Facebookの仮想通貨をを議論
・ハリー(日本では「ヘンリー」)王子のプライベートジェット利用への批判

この本でも述べられていますが、日本は在留外国人も少ない隔離された島国ですから、他国のような情報に価値を見出せないし、必要が無いのです。これは筆者も同じでして、日常生活や井戸端・犬端会議に必要のない話題はスキップです。

それでも最近は渋谷電視台(別名NHK)のBSで、「キャッチ!世界のトップニュース」や「国際報道2020」といった番組はあります。しかし、内容がNHKらしく一部バイアスがかかっていますので、critical thinkingでご覧になればと思います。。

❖ 第1章 世界の「政治」を日本人は何も知らない
<アフリカのメディアを買収する中国> や <マッキンゼーの〝黒いビジネス〟> そして <移民に揺れるスウェーデン> は是非一読ください。この本の面目躍如といったところです。

❖ 第2章 世界の「常識」を日本人は何も知らない
<国連はドブ掃除でもめる町内会> と <国連のお仕事は無謀国家への〝がん付け〟> は、日本の国連中心主義を完膚なきまでやり込めています。これは在職したご経験からのもので、筆者の感覚と一致します。

<実は、日本は恐ろしく恵まれた国> と <大半の国は日本よりはるかに悲惨> ですが、これは海外に観光や物見遊山ではなく、実務で経験すれば直ぐに気が付きます。日本の知識人・オールドメディアのバイアスを掛けたお話しはfakeであると判ります。

❖ 第3章 世界の「社会状況」を日本人は何も知らない
<多文化主義を否定するようになった欧州> と <人種差別にも〝格差〟がある> は人によっては目から鱗かも知れません。

❖ 第4章 世界の「最新情報」を日本人は何も知らない
前述した如く、日本人は最新情報を知る必要がないのですからねぇー。<残念ながら新聞と雑誌に未来はない>は現状を確認するために一読です。

また<嫌なヤツほど出世する、は正しい> は〝清く正しく美しく〟といった価値観の真逆です。皆さんもご経験があるはずです。

❖ 第5章 世界の「教養」を日本人は何も知らない
<老いを恐れる必要なない> と <効率は創造性を殺す> 辺りは筆者のような老人には応援歌のようです。それにしても筆者もその仲間ですが「教養:リベラルアーツ」のない知識人・アカデミア・ジャーナリズムの多いこと多いこと。

❖ 第6章 世界の「国民性」を日本人は何も知らない
国ごとにお話をまとめてあります。特に風俗に関しては是非一読頂きたいものです。日本の常識と欧米の常識が乖離してます。ドイツ人の項は筆者の経験と重なる部分もあり納得です。

❖ 終章 世界の重大ニュースを知る方法
<ブロガーやインフルエンサーは信用してもいい?> は意外に著者は肯定的に捉えておられます。まあリテラシーの領域でしょうか。

最後に<クリティカルシンキングを身につけよ> で締め括っておられます。「critical thinking」は批判だけではダメでして、feasibleな対案,改革案と一対です。


以上、コロナ禍・猛暑禍に一読をお勧めします。



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