SSブログ

備前・旭川の憂鬱 (「シルクロード 謎の民 大峡谷に生きる」 19-08)  [日記・雑感]


いつもTV、特に渋谷電視台 (別名NHK) を揶揄している筆者です。しかし、『ドキュメンタリー〝シルクロード 謎の民 大峡谷に生きる〟』を録画で見ました。それは、2019年1月12日(土) 午後7時30分(90分) から放映されました。


この番組のwebの案内は、

〝中央アジア・タジキスタン。3,000m級の山々に囲まれた大峡谷で、少数民族ヤグノブ人が貨幣すら使わない伝統の暮らしを続けている。

最新の研究では、彼らはかつてシルクロードの交易を支配しながらも歴史から消え去った「幻の民」、ソグド人の末裔とみられている。

なぜいま、外界と隔絶した大秘境で暮らしているのか。雄大な自然と四季折々の絶景に囲まれた暮らしを見つめるとともに、そのロマン溢れるルーツの謎をひも解く。〟

とあります。馴染みのない場所ですから地図をご覧ください。タジキスタン共和国、いわゆる〝中央アジア〟です。地球の屋根と呼ばれているパミール高原・天山山脈の辺りです。


a中央アジア(外務省より)for upload.jpg



シルクロードの頃は〝ソグディアナ〟と呼ばれていました。中心地だったのです。


bシルクロードfor upload.JPG


7世紀、ソグド人んが最も輝いていた時代のmapもご覧ください。筆者が少し地名を付加しました。


7世紀おわりの世界地図for upload.png


筆者は何故に珍しくドキュメンタリー番組を見たか!?それは〝少数民族ヤグノブ人が、ソグド人の末裔とみられている〟からです。


外務省の〝国・地域〟より略史をコピペします。

d外務省.png


その昔の事ですが、ソグド人は生まれた子供に、コインを握らせ〝これが金の味だ、よく覚えておくように〟とする儀式があると聞いたからです。それで〝ソグド人〟なる民がいたことを知りました。イラク戦争で〝クルド人〟を知ったのと同じような経緯です。


ドキュメンタリーは1年間を通じて、ソグド人の末裔とみられている〝少数民族ヤグノブ人〟の一家を密着取材したものです。番組のwebの案内にある〝ロマン溢れる〟なんて、ヤグノブ人の御一家には失礼です。

この御一家は〝天山山脈〟の大渓谷に居住されているご夫婦と7人の子供 (番組の中で女児誕生で、男女同数、8人となる) が牧畜で生活している様子を描いています。

この御家族のお父さんが素晴らしい。上の二人の男子には教育を受けさせるために、貧しいながらも首都ドゥシャンベ(Dushanbe)の学校へ行かせています。残った三男7歳がお父さんと共に牧畜を手伝っています。

学校の休みに帰って来た長男・次男が三男の仕事手伝いを見て、家父長制意識の強い (最近の言葉では〝パターナリズム〟か?) お父さんに〝三男の仕事がきついので、牧畜の頭数を減らしてはどうか〟と進言します。この言葉は筆者に涙を誘いました。

これは後日談がありまして、現銀収入と長男・次男の学費のために、首都ドゥシャンベの市場へ「羊」数十頭を売りに、山をいくつも越えて徒歩で行きます。ところが小さい羊は高く売れません。そこでお父さんは決断します。羊の数より質の高い羊を育てようと。

この辺りは、多少演出 (〝やらせ〟ではないと思います) もあるとは思いますが、お父さんの真面目さ、実直さ、思慮深さ、に思わず「見習わなければ」と思いました。このお父さんに卑屈さは全くありません。誇りをお持ちです。顔付きがそれを物語っています。

最近の近隣の国とは〝大違い〟です。


〝ヤグノブ人はソグド人の末裔〟か否かは番組の中で、言語や出土品から考証されています。おそらく末裔であろう、と結論付けています。日本の正倉院御物にもソグド語で掘られた香木が収められています。これはまさに「シルクロード」ですね。シルクロード・ファンにはタマランお話しでしょう。

では何故シルクロードの中心的民が天山山脈の大渓谷に追いやられたのでしょうか!?それは8世紀にアラブ人の侵攻に負けたからです。戦争はやっては断じてダメです。でも攻められたら勝たねばなりません。この教訓もどこぞの国の現状に酷似していますね。


e落人for upload.JPG


日本でも徳島県・祖谷地方の渓谷に、今でも〝平家の落人〟が山肌に沿って暮らしておられるようです。〝平家の落人〟伝説は各地にありますが、ヤグノブ人と似ています。勿論、現在の祖谷地方の方々は文化的な暮らしをされています。


渋谷電視台 (別名NHK) はずるい?ので、このような番組は何回も再放送をします。時間があれば是非ご覧下さい。このようなドキュメンタリーを制作するのであれば、受信料も惜しくはありません。しかし紅白は無駄使いですから、是非止めてください。



nice!(9)  コメント(0)